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香りある豊かなくらしの創造

2025年10月16日

イシダフーズ株式会社

香りある豊かなくらしの創造

イシダフーズ株式会社は、三重県伊賀市を拠点に、食品香料の製造を主な事業とする企業です。製菓、製パン、冷菓、飲料と様々な食品メーカー様からの依頼を受け、食品香料(フレーバー)を製造しています。一部香粧品香料(フレグランス)も取り扱っております。今回は、伊賀で培った香料開発の知見と、有機JAS認証ルイボスティーやグルメオイルに広がる自社展開、そして今後のビジョンについて、代表取締役社長にじっくりとお話を伺いました。。

<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>


【東様の今までの経緯・背景】

この会社は元々父が創業した会社でした。私はこれまで仕事には一切関わっておらず、主婦として生活していました。結婚後、主人の転勤で東京、大阪、そして大分と各地を回りました。会社の所在地である三重県は私の実家がある場所です。父が体調を崩してから会社に入ったのが、今から6年前になります。その後、社長に就任したのは4年前、2021年の3月のことです。

父は私の主人に会社を継いで欲しかったようですが、主人にはその気がなく、ずっと断り続けていました。父の体調が悪くなり、どうしようという状況になった時、私自身がふと考えたことがありました。それは、私がこれまで自由に、何不自由なく生活できていたのは、この会社で働いてくれている従業員の皆さんのおかげではないかということです

私が社長になろうと決意したのは、従業員の皆さんやそのご家族に、今度は私が貢献したり恩返ししたりする時期なのではないかという気持ちを強く持ったからです。その気持ちだけで、私はこの会社に来ました。

取材担当者(石嵜)の感想

元々主婦として家庭を支えていた方が、創業者の父の体調不良という予期せぬ状況下で、会社を継承するという決断を下した背景に、深い感銘を受けました。特に、「従業員への恩返し」という気持ちが最優先の動機であったという点から、社長が社員一人ひとりの生活や貢献を深く認識し、責任感を持って経営に臨んでいることが伝わってきました。就職活動において、企業の文化や経営者の人間性が働く環境に直結するということを改めて認識させられます。
 

取材担当者(石嵜)の感想

【イシダフーズ株式会社事業・業界について】

弊社の主な事業は、食品香料・食品添加物の製造です。これは一般的に添加物と呼ばれるものですが、製菓、製パン、冷菓、飲料など、様々な製品に使われる香りを、企業様から依頼を受けて製造しています。食品表示ラベルに「香料」と記載されているものが、私たちの仕事の一部です。私たちは、お客様の「こんな香りを作ってほしい」という依頼を受け、その要望を具現化するために日々努めています。

自社商品としては、父の代から販売しているオーガニックルイボスティーやグルメオイルがあります。父は自分の会社のブランド商品を作りたいという思いをずっと持っており、製品化に成功しました。オーガニックルイボスティーは、原料を仕入れてティーパック加工及び包装をして販売し、オイルはドイツから原料を仕入れ、瓶詰めして販売しています。ルイボスティーはノンカフェイン、ノンカロリーが一番の売りです。また、ポリフェノールが豊富に入っているので、健康や美容に良いと言われています。

ポリフェノールの作用としては、体の錆や焦げ、いわゆる血糖値や血圧の上昇を抑える効果が期待できます。そのため、食事前などに一杯飲んでいただくだけで、その上昇を抑えられるので、体の老化の防止につながると考えています。オーガニックルイボスティーはカフェインが含まれておりませんので、お子様からご年配の方まで老若男女問わず飲んでいただけます。ただし、マグネシウムが含まれているため、飲みすぎると便秘の方には良いかもしれませんが、軟便の方には影響が出る場合もあるので、1日500mlを目安に飲んでいただくのが良いと考えています。弊社のティーパックは2.5gで、マグカップに入れてお湯を注ぎ、5分ほど蒸していただくと45杯分程度楽しめますし、学校へ行かれる際にもマイボトルに入れてお持ちいただけます。

現在、営業員を募集していますが、なかなか人材が集まらないという課題に直面しています。地域柄ということもありますが、学生にとって営業という仕事にネガティブなイメージがあるのかもしれません。弊社の営業は、個人に厳しいノルマを与える形ではなく、お客様との対話を通じてニーズを把握し、その思いを形にするために、製造や研究の部門と話をして具現化していくことが仕事の中心です。このような営業のあり方は、一般的な営業職のイメージとは少し違うのではないかと考えています。

経営者としての私自身の課題としては、主婦だったため、ビジネスというものに一切携わってこなかったことです。ビジネスの考え方や基礎が全くない状況でいきなりトップという立場に立ちました。つい、従業員を我が子のように感じてしまい、頑張ってくれているという気持ちが先に立つため、厳しく指導できなかったり、寄り添いすぎてしまいます。これは直さなければいけない点だと痛感しています。

取材担当者(石嵜)の感想

食品香料という普段消費者から見えにくい事業と、オーガニックルイボスティーという健康志向の強い自社商品の両輪を持つ事業構造が魅力的だと感じました。特にルイボスティーの効能や飲み方まで詳しくお話しいただき、その製品への自信が伝わってきました。また、社長がご自身の経営者としての経験不足や、従業員への接し方の課題を率直に語られている姿勢は、リーダーシップの難しさとともに、人間性を重視する経営文化を反映していると感じました。営業職の仕事内容についても、単なる「ノルマ」ではなく「顧客のニーズを形にする」仕事であると定義されている点は、就活生が営業職へのイメージを改善する上で重要な情報です。

取材担当者(石嵜)の感想

【イシダフーズ株式会社今後の展望】

今後の展望として、本業である食品香料の製造について、世間が持っているネガティブなイメージ(体に悪いというイメージ)を払拭していきたいという思いがあります。添加物は、法律で使用できる品目と添加できる量が厳格に定められており、その範囲であれば、安全であることが確認されています。オーガニック製品だけを摂っていれば良いというわけではなく、状況に応じた摂取が重要であると考えています。

弊社の強みは「香り」です。香りは、食欲を増進させるだけでなく、リラックス効果、幸福感、心地よさを得ることができます。充実した食生活が日常生活の制限なく日々を健康的に過ごすことのできる、健康寿命を延ばすことになります。この思いを具現化するために、日々努めています。

取材担当者(石嵜)の感想

食品香料というと、なんとなく「体に悪い」というイメージを持っていましたが、今回のお話を通して、その誤解が正された気がしました。添加物には厳しい基準があり、安全性が守られていることを知り、正しい知識を持つことの大切さを実感しました。また、「香り」には食欲を高めるだけでなく、リラックス効果や幸福感を与える力があると伺い、日常に欠かせない存在であることに気づきました。香りを通じて人の心と体の健康を支えるという考え方に深く共感し、見えない部分で人々の生活を豊かにする仕事の素晴らしさを改めて感じました。

取材担当者(石嵜)の感想