会社説明
パーソルファクトリーパートナーズ株式会社は、元々はパナソニックの製造アウトソーシング部門として設立され、2015年にパーソルグループの一員となりました。創業以来、日本のモノづくりを人材でサポートする役割を担っています。今回は、製造業と人材をつなぐ独自の歩み、そしてこれからの展望について、代表取締役社長 谷川様にじっくりとお話をお伺いしました。
<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>
【谷川様の今までの経緯・背景】

大学卒業後、メーカー商社に約3年間勤務した後、現在の親会社の前身となる会社に転職して以来、約30年間、人材ビジネスに携わっています。転職当初は事務系派遣の営業や部門運営を経験し、2015年のパーソルグループにジョインした後は管理部門を管掌していました。
約2年半前、子会社である現在の会社、パーソルファクトリーパートナーズの社長に任命されましたが、私自身は社長になることを全く考えておらず、むしろ二番手としてトップを支える立場が向いていると思っていました。しかし、実際に社長を経験すると、多くの苦労はありますが非常に面白く、挑戦してよかったと感じています。経営者としての困難は、私にとって改善の機会であり大切な財産だと受け止めています。
キャリアで最も辛かったのは、20年以上前のこと。30代で任された100人規模のチームマネジメントです。自身の経験不足からチームや顧客との関係に苦しみ、なかなか成果を出せなかった経験は「知らないことは罪」という学びとなり、仕事への姿勢が大きく変わりました。この経験が現在の私の原動力です。困難な時こそ、よき経験を積む機会であること、そして頼れる人に相談し、助けを求めることが重要だと考えています。
取材担当者(石嵜)の感想
谷川社長のキャリアパスは、予想外の展開から始まり、多くの学びを得てきた軌跡だと感じました。特に、過去の困難から「知らないことは罪だ」と学び、それを成長の糧とされているお話は、私たち学生にとって「失敗を恐れず、常に学び続けることの重要性」を教えてくれます。

【パーソルファクトリーパートナーズ株式会社の事業・業界について】

私たちが事業を展開する製造業の人材ビジネスは、現在、「人手不足」という深刻な課題に直面しています。製造業は日本経済を支える基幹産業であり、その活力を維持することは日本全体の危機回避に繋がると考えています。私たちは、培ったノウハウを広く提供し、製造業全体の活性化を通じて、日本のモノづくりを支えることを使命としています。
当社のひとつの目標として「モノづくりファンを増やす」ことを掲げています。モノづくりの楽しさや魅力を積極的に発信し、興味を持つ人を増やしたいと考えています。現在、約1万人の社員が在籍し、毎年多くの方を採用していますが、社員が安心して勤務できるよう人間関係や業務のミスマッチに対し、一人ひとりの声に耳を傾け、配置転換や業務調整で長く働ける環境作りに尽力しています。
特に深刻な課題は、地方における人材確保です。工場の多くは地方に立地する一方、都市部と比べて人材確保が極めて困難な地域もあります。そのため、私たちは「モノづくり産業への貢献」と「地方雇用への貢献」という二大テーマを掲げ、日本の社会課題解決に貢献できる企業を目指して事業を進めてまいります。
取材担当者(石嵜)の感想
製造業の人手不足という社会課題に対し、パーソルファクトリーパートナーズが単なる人材供給に留まらず、「ものづくりファン」を創出することで業界全体の魅力を高めようとしている点に感銘を受けました。特に地方雇用への貢献という視点は、社会貢献への意識が高い学生にとっては志望する企業が目指すべき理想的な姿の一つだと感じられます。

【谷川様から学生へのメッセージ】

皆さんがこれから、社会で充実したキャリアを築く上で、最も重要なのは「好きなこと」や「打ち込めること」を見つけることではないでしょうか。好きなこと、打ち込めることが仕事とどう結びつくかをイメージできるよう、情報を集め、実際に様々な経験を積み、肌で感じる体験を通して、本当に自分に合った「好き」を見つけてください。そして見つけた「やりがい」や積み重ねた「成果」は豊かな人生に繋がっていくのではないでしょうか。何に情熱を傾けられるか、何が得意かを自問自答し、挑戦を恐れず経験を積んでください。
趣味からでも構いません。その「好き」を、どうすれば仕事や収入に繋げられるかを考える視点を持つことも大切だと感じます。 実用的な観点では、「海外との付き合い」に慣れておく必要性を感じています。これからのビジネスはグローバルな視点が不可欠であり、国際的な環境に臆しない経験を積んで欲しいと思います。また金融資産の知識を若いうちから身につけ、長期的な視点で将来に備えることも非常に重要です。これらは、皆さんの人生の選択肢を広げ、豊かな未来を築く基盤になると考えます。
取材担当者(石嵜)の感想
「好きなことを見つけ、やりがいを追求する」というメッセージは、私たち学生の価値観に合致しており、強く共感しました。海外経験や金融知識の重要性という具体的なアドバイスも、漠然とした将来への不安を解消する実践的な指針となり、大変参考になりました。

【パーソルファクトリーパートナーズ株式会社の今後の展望】

パーソルグループのビジョンである「はたらいて、笑おう。」を、私たちはモノづくりの現場で具現化したいと考えています。2030年を目標に掲げ、三つの主要な柱を据え、会社としての成長を目指しています。
第一の柱は、お客様とのパートナーシップを質的に進化させることです。現状、モノづくり工程の一部をお任せいただいていますが、2030年にはお客様の工場運営を丸ごと担うような存在になることを目指しています。後継者不足や人材難に悩む工場に対し、モノづくりを知り尽くしたプロフェッショナル集団として、工場全体の運営を受託できる能力を構築したいと考えています。
第二の柱は、社員にとって「安全」かつ「安心」で、「成長」を実感できる、業界ナンバーワンの会社になることです。作業上の安全性はもちろん、法律を遵守した心理的安全性も含みます。地方であっても働く場所、働き方の選択肢を提供することで、将来に不安のない安心感を創出します。その上で、一人ひとりが成長を実感し、自身の可能性を広げられる環境を提供することに注力したいと考えています。
第三の柱は、全社員が「一人ひとりが経営者」という意識を持つことです。全社員が「自分の会社」という当事者意識を持ち、会社全体の発展のために自ら判断し、主体的に行動できる組織を目指します。これらの質的な目標を追求しつつ、量的な事業成長も両立させることで、社会に貢献し続ける企業として進化していきたいと考えています。
取材担当者(石嵜)の感想
「はたらいて、笑おう。」というビジョンを掲げ、2030年に向けた三つの柱を明確にされていることに、企業の強い意志を感じました。特に、「工場運営の丸ごと受託」という展望は、単なる人材提供を超え、産業の未来を担うという気概が伝わります。「働く人ファースト」の視点や「一人ひとりが経営者」という考え方は、企業選びの重要な要素となる理念であり、私たち学生が自身のキャリアを考える上で、非常に参考になるビジョンです。
