Skip to content
日本を元気に!親への「恩返し」を胸に「敬護」の社会を創る

2025年06月11日

リハプライム株式会社

日本を元気に!親への「恩返し」を胸に「敬護」の社会を創る

リハプライム株式会社は、「ハッピーリタイアメント社会」の創造を目指し、高齢者の在宅生活をサポートする「コンパスヴィレッジ構想」を全国で展開しています。高齢者を「介助して護る」介護ではなく、人生の大先輩を「敬って護る」という独自の理念「敬護」を軸に、リハビリデイサービスを中心に、訪問看護、娘息子代行サービス、定期巡回、福祉用具販売・レンタル、移動スーパー、喫茶、美容室など、多角的なサービスを提供し、「顔の見える地域包括システム」を構築しています。日経スペシャル カンブリア宮殿でも「スーパー介護施設」として紹介されました。今回は、「敬護」の理念を軸に、地域とのつながりを大切にしながら多角的なサービスを展開するリハプライム株式会社の取り組みと、今後の展望について、代表の方にじっくりとお話を伺いました。

<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>


【小池様のこれまでの歩みと事業を始めた背景】

私はリハプライム株式会社を2011年に設立しました。それまでの14年間は、上場フィットネスクラブの運営会社の執行役員を務めており、介護とは全く関係のない仕事をしていました。介護に興味がない状態で2011年を迎えましたが、当時70歳を過ぎていた母親が突然倒れたことがきっかけとなりました

母が入院した際に、より良い施設を探そうと40施設ほど見学しましたが、そこで見た光景に衝撃を受けました。入居されている方々がまるで子供扱いされているように見えたのです。「よくできたね」と褒めたり、名前をちゃん呼びにしたりする様子を見て、自分の親を任せられる場所ではないと感じました

簡単なロジックではありませんが、基本的には入れたくないという思いが強く、「なんとかできないか」と考えましたが、当時の私には何もできませんでした。その時、「これは自分でやるしかない」と決意しました。

起業する前は、フィットネスクラブの会社で役員の立場でしたから、そのまま勤め続ける方が普通に考えれば良い選択でした。46歳を過ぎてからの転職はなかなか厳しい時代でしたので、どうしようか迷いました。しかし、親を入れるにはあまりにも忍びないという思いが勝り、自分で「敬護」という概念をポイントに事業を作ろうと考えました。多くの施設で「敬い」が足りないと感じたからです。当時の私の目には、見学する施設すべてが「ダメだ」と映り、自分で作るしかないと思ったのです

最初はそのリハビリデイサービスを1つ運営するだけでしたが、すぐにそれだけでは親を護れないことに気づきました。親はすぐに元気になると思っていましたが、70代半ばを過ぎると、今まで悪くなかったところまで悪くなっていく現実を目の当たりにしたのです。リハビリには意味がありましたが、それだけでは簡単に治りませんでした。

そこで、デイサービスだけでなく、親を元気にする地域を創っていこうと考え、「コンパスヴィレッジ」構想に至りました。自分の親の周りに24時間対応の訪問看護ステーションや、行きたい場所に行ける介護タクシーなど、親が必要とするものを全て、行政任せではなく自分主導で作ろうとスタートしました。

取材担当者(石嵜)の感想

小池社長が介護事業を始められたきっかけが、お母様への深い愛情と、既存の介護施設への問題意識からだったと知り、強い感銘を受けました。フィットネスクラブの役員という安定した立場を離れ、私財を投じてゼロから事業を立ち上げた行動力と決断力は本当に凄まじいです。

自分の大切な人のために何ができるか真剣に考え、それを実現するためにリスクを恐れずに挑戦する姿勢は、私たち若い世代が人生の目的を考える上で大きな学びになります。

取材担当者(石嵜)の感想

【小池様から学生の皆さんへのメッセージ】

全ての仕事には目的があります。私たちの事業で言えば、親孝行というか、親を護るという目的があります。皆さんに考えて欲しいのは、成果が出ない時でも「頑張ったね」と言ってくれる人は誰かということです。多分、そんなことを言ってくれるのは親くらいではないでしょうか。だとすれば、その親を護らないで誰を護るのかと、私は皆さんにお伝えしたいです。

今の日本の流れでは、子供はどんどん元気になっていくので保育はやりたいと思う人が一定数いる一方で、歳を重ねていく親は、介護してもどんどん悪くなっていくからやりがいがないと言う人もいます。しかし、これはやりがいの問題ではなく、「恩返し」なのです。これが私たちの事業の目的です。

「誰かの役に立ちたい」「誰かを護りたい」「親を護りたい」と思う目的に共感してくれる人は、私たちの事業にとても合っていますし、力を発揮できます。しかし、目的や価値観が異なり、数字を見てどんどん上がっていくゲームのように働くのが楽しい、親には興味がないという人は、私たちの会社に来てもすぐに辞めてしまうでしょう。そういう文化ではないからです。

学生の皆さんには様々な会社があると思います。会社の中には理念や行動指針がありますが、そこに会社の目的に対する本音が現れやすいです。私たちの場合は特に「敬護」という理念に、自分の親を敬って護るという思いが込められています。理念にある「護」という字には意味があり、「自分の大事にしたい人を大切にする」という価値観を持った人に来て欲しいと考えています。

仕事の手段は、学生さんから見たら魅力的に映らないかもしれない、入浴介助や車椅子を押すといった仕事もあります。しかし、勘違いしている人がいるのは、最初からそれを一生の仕事にするという考え方です。私たちの仕事には広報の仕事やマーケティングの仕事など、色々な仕事があり、それら全てが自分の親のためだと思うことができる人にとっては、一般企業に勤務することと基本的に何も変わらないのです。

自分自身が「誰かの役に立ちたい」「何かに貢献したい」「大切な人を護りたい」という価値観を持っている人は、少なくとも私たちの会社は求めています。ただ単純に、資格がなくても入れるからという理由で来る人は求めていません。ある意味、私たちの会社はいわゆる「介護介護」している会社とは少し違うと感じています。

期待と現実のギャップが離職の大きな原因となるというデータもあります。就職する前に、どのような働き方が求められるのか、ある程度予測しておく必要があります。多くの学生が、まず給与や条件から会社を探していますが、その探し方をしている限り、離職は今後も増えるだろうと思います。

条件の上にどのような働き方があるのか、その上に会社の理念や思いがあるのかを知らないと、上に行けば行くほどずれていってしまうからです。ですから、探し方が間違っていると色々な人に話しています。まず、自分自身が何を目的に仕事をしたいのか、自分が大切にしたいものは何なのかを明確にすることが重要です。そして、その思いと、会社がやろうとしていること、大切にしていることが合っているのかを、そこで働いている人と話して確認することが大切です。

取材担当(石嵜)の感想

小池社長の「恩返し」という言葉に、働くことの深い意味を感じました。給与や条件だけでなく、仕事の目的や自分が大切にしたい価値観で会社を選ぶことの重要性を改めて認識しました。期待と現実のギャップが離職の原因となるというお話は非常に説得力があり、就職活動において企業の理念や文化を深く知ることの重要性を痛感しました。

自分自身が何を大切にしたいのかを明確にするプロセスは、今後のキャリアだけでなく、人生全体を考える上でも不可欠だと感じています。若い世代は「挑戦したがらない」と言われることもありますが、挑戦できる環境と、やりたいことを見つけるヒントがあれば、多くの人が一歩を踏み出せるのではないかと感じています。

取材担当(石嵜)の感想

【リハプライム株式会社の事業内容と介護業界について】

私たちの事業は、単なる「介護」ではなく、「敬護」という理念に基づいています。人生の大先輩を敬い、その恩に報いるという考え方が根底にあります。提供しているサービスは多岐にわたり、リハビリに特化したデイサービスだけでなく、ご自宅での生活を支える訪問看護や定期巡回サービス、買い物や庭の手入れなども行っています。また、地域の方々が集える喫茶や美容室、移動スーパーなども展開しています。これらの事業は全て、高齢者の方が住み慣れた地域で、主体的に、そして人間らしく尊厳を持って暮らせるように支援することを目的としています。

介護業界は儲からないとか、給料が安いと言われることがあります。介護報酬が政府によって決められているため、その範囲内で運営していくのは大変な側面があることも事実です。しかし、私たちは介護保険だけではなく、保険外の事業も展開しています。これは、サービスの選択肢を広げるだけでなく、社員の待遇向上に繋げるための取り組みでもあります。

給与を上げるためには、一人当たりの生産性を高める必要があります。そのためには、社員数を増やし、それぞれの得意なことに特化して仕事ができる組織にする必要があると考えています。私たちは、2027年度中に社員数1000人を目指しており、これにより一人当たりの待遇を1.2倍から1.3倍に引き上げられると考えています

よく介護業界の給料が安いのは政府が悪いと言われますが、それは入る前から分かっていたことでしょう。それよりも、その状況の中でどのように待遇を上げていくかを考え、実行していくことが重要です。

取材担当(石嵜)の感想

リハプライムさんが単なる介護施設ではなく、「敬護」という独自の理念を持ち、それを実現するために多角的な事業を展開されていることに驚きました。特に移動スーパー、喫茶、美容室といった保険外事業は、「親が喜ぶこと」という社長の思いから生まれており、利用者様とそのご家族の生活全体を支えようという強い意志を感じます。

介護の仕事には様々な職種があり、自分の得意なことで貢献できる可能性があるというお話は、この業界に関心を持つ学生にとって大きな希望になると思います。給与水準の課題に対しても、事業戦略によって解決しようとされている点が、他の企業とは違う革新性だと感じました。

取材担当(石嵜)の感想

【リハプライム株式会社の今後の展望】

私は、社員の幸せを創ることが自分の仕事だと考えています。現在60歳になりますが、近々ナンバー2に社長の座を譲る予定です。しかし、引退するつもりは全くありません。今後は、ホールディングスを設立し、子会社を増やしていくことに注力します。すでに設立はしていますが、2027年までに子会社を増やし、日本中にデイサービスを500箇所から700箇所展開する計画です。これは単なる夢ではなく、着々と進めている計画です。

個人的には、教育事業とエンジェルファンドにも力を入れていきたいと考えています。まず個人資産を10億円まで増やし、その資金で社員が起業する際の支援をしたいと考えています。社員が起業する際に最も苦労するのは、金融機関から数千万円の資金を借りることが難しい点です。私の起業塾を出た社員には、その資金を融資できるような仕組みを作りたいと考えています。つまり、社員の教育事業とエンジェルファンドを通じて、起業する社員を全面的にバックアップしていくのが、私の今後のプランです。

若い皆さんには、気分や感情に流されるだけでなく、自分がワクワクするゴールをしっかりと設定し、そのゴールにふさわしい自分を日々の生活から作っていくという考え方を大切にして欲しいと思います。私たちの会社の研修は全て、そのような考え方に基づいて構成されています。ぜひ、このような環境に飛び込んできてもらいたいと思います。

学生さんの中には、私たちの事業が「介護」というカテゴリーに見えてしまい、少しミスマッチを感じる人もいるかもしれません。しかし、私たちは単に介護の事業にこだわって始めたわけではありません。親が元気で意欲的に過ごし、若い心のあり方を失わないでほしいという思いで事業を行っています

高齢になると介護保険を使った方が利用者の負担が軽くなるため、結果的に介護保険サービスが多くなっていますが、介護保険のカテゴリーに入りたいわけではありません。私たちの事業の根幹にあるのは、親への恩返しであり、人生の大先輩への敬意なのです。

取材担当(石嵜)の感想

小池社長の「社員の幸せを創る」という目標と、それを実現するための具体的な計画(ホールディングス化、子会社増加、エンジェルファンド設立など)に、強いリーダーシップと情熱を感じました。60歳を迎えてなお、現役で事業を推進し、新たな挑戦を続けられる姿勢は、私たち若い世代にとってロールモデルとなる存在です。

特に、起業を目指す社員を資金面でも支援するという考えは、社員の成長と挑戦を心から応援されていることの表れだと感じました。自分自身が何をしたいか、どのような未来を創りたいのかを明確にし、そこに向かって努力することの重要性を改めて学ぶことができました。日本の社会課題に対し、主体的に楽しみながら解決していこうとするリハプライムさんの取り組みは、多くの学生にとって魅力的に映ると思います。

取材担当(石嵜)の感想