リカバリータイムズは、理学療法士であり医学博士でもある代表が開設した医療・介護・福祉・保育の複合的なサービスを提供する会社です。横浜市鶴見区・港北区を中心に、「あなたの街のリハビリステーション」として、住み慣れた地域で人々が安心して生活し続けられるための地域づくりを目指しています。リハビリ特化型デイサービス、訪問看護、小規模保育、横浜市通所型サービスなど、多岐にわたるサービスを展開し、利用者の「笑顔に寄り添う」ことを大切にしています。今回は、医療・福祉・保育を横断する多様なサービス展開と、その背景にある地域への想い、そして今後の展望について、代表の理学療法士・医学博士である石田様にじっくりとお話を伺いました。
<聞き手=丸山素輝(学生団体GOAT編集部)>
【石田様の今までの経緯・背景】

私は理学療法士として働き始め、目の前の患者さんを助け、体を治せる人になりたいという強い思いを持っていました。患者さんから直接感謝の言葉をいただける非常にやりがいのある仕事であり、給料にも不満はなく、友人や職場の仲間との関わりにも恵まれ、仕事への満足度は高い状態でした。
しかし、理学療法士になって4年目の夏、一般的に「仕事を1万時間経験する」と言われるタイミングで、「このままでいいのかな」という疑問を抱きました。特に大きな不満があったわけではありませんでしたが、「このままではいけない、何かもう少ししなければならないのではないか」という思いがふと湧き上がってきたのです。
その時期に、退院後にリハビリを継続する場所がないという患者さんからの声を何度も聞きました。病院から退院してしまうと、リハビリを続けたくても続けられない現実があったんです。そんな中、たまたま担当した3人の患者さんが偶然にも会社の社長さんで、彼らから立て続けに「なんで石田君自分でやらないの?できるでしょ」と言われたことが大きなきっかけとなりました。
最初は経営の知識もない医療系の自分には無理だと考えていましたが、「何かをしなければならない」という思いと、その声が重なり、勉強を始めました。退院後もリハビリを続けられる施設を作ろうと決意し、現在の会社設立に繋がっています。これは、単に独立したかったわけではなく、社会に求められている仕事をしっかりとできるようになりたいという欲求からでした。
取材担当者(丸山)の感想
理学療法士という専門職として患者さんと深く関わる中で、社会的な課題(退院後のリハビリ不足)に気づき、さらに周囲からの偶然とも言える後押しを受けて起業を決意された背景が非常に興味深いです。ご自身の内なる疑問と外部からの声が重なったタイミングが重要だったと感じました。

【株式会社リカバリータイムズの事業・業界について】

リカバリータイムズでは、リハビリ特化型デイサービス、訪問看護サービス、小規模保育、横浜市通所型サービスなど、多角的な事業を展開しています。特にリハビリや看護サービスでは、退院直後で継続的なケアが必要な利用者さんが多くをいます。
病院での入院期間が短縮化されている現代において、命を救い、身体の動きや基本動作等を治す病院の役割に加え、退院後にさらなる身体の機能や生活の質をより細やかにフォローする私たちのサービスが重要性を増しています。デイサービスは7店舗あり、訪問看護も含めると毎日300人弱の利用者さんを80人ほどのスタッフで対応しています。
医療・介護業界、特に訪問看護分野は人材不足という課題に直面しています。資格を持ちながら働いていない「潜在看護師」も存在し、さらに訪問看護を専門とする看護師は全体の1〜2割程度に留まり、大部分は病院に勤務しています。
病院での夜勤や不規則な勤務体系から、ライフワークバランスを求めて訪問看護を選ぶ方もいますが、訪問看護の仕事の面白さがまだ十分に伝わっていないことも人材が集まりにくい要因の一つと考えられます。
また、訪問看護の分野では新卒の看護師が直接就職することはほとんどありません。これは、疾患の病態や多様な患者さん像を理解するために、まずは病院で経験を積むことが一般的だと考えられているためです。
病院には教育体制が整っており、先輩から指導を受けられますが、訪問看護では基本的に医師の指示のもとで動きつつも、その場での判断が求められることが多く、そこにプレッシャーを感じる人もいます。しかし、中には病院での作業的な業務に疑問を感じ、患者さんにじっくり寄り添う看護を求めて訪問看護に移る方もいます。
取材担当者(丸山)の感想
事業内容が多岐にわたることで、地域の方々の多様なニーズに応えられていることが理解できました。また、訪問看護という分野が抱える構造的な課題、特に人材不足や新卒採用の難しさについて、現場のリアルな声を聞くことができ、非常に勉強になりました。
病院と訪問看護の役割の違いや、働く上でのやりがいの違いについても、就活生にとって選択肢を考える上で重要な情報だと感じました。

【株式会社リカバリータイムズの強み】

リカバリータイムズが地域で長く愛されている理由、そして私たちの強みは、人間力と専門力の両輪にあると考えています。特に重要視しているのは人間力であり、これを高めるための行動指針として、「声かけ」「礼儀正しさ」「パフォーマンス」「効率」の4つを掲げています。この中でも、「声かけ」と「礼儀正しさ」は能力を問わず、誰でも実践できる再現性の高い行動だと考えています。
私たちのサービスを利用されるお客様は、専門的なリハビリやケアを求めていらっしゃいますが、アンケートなどから伝わってくるのは、専門性以上にスタッフの丁寧な声かけや気配り、いつも気にかけてくれるといった人間的な側面に喜びを感じてくださっているということです。
朝の挨拶から始まり、話をする際の目線の合わせ方、帰る際の「また来週も来てね」という一言など、日々の些細な関わり一つ一つが、お客様の印象を大きく左右すると考えています。
もちろん、理学療法士や看護師など、それぞれの分野の専門家を配置し、質の高いサービスを提供することも不可欠です。お客様との信頼関係を築くための温かい人間力、そしてそれを支える日々の細やかな努力こそが、リカバリータイムズの強みであり、地域の方々に選んでいただける理由になっていると認識しています。
取材担当者(丸山)の感想
企業の強みとして、専門力だけでなく、挨拶や声かけといった人間力の部分を挙げられている点が印象的でした。特に、それらを「誰でもできる再現性の高い行動」と定義し、行動指針として掲げていることから、理念が単なる建前ではなく、現場に根ざした具体的な取り組みとして実践されていることが伝わりました。
就活生にとって、企業文化や大切にしている価値観を知る上で非常に勉強になるお話でした。

【石田様から学生へのメッセージ】

学生の皆さんには、まず「未来を見据えて過去を振り返り、今を生きろ」という言葉を贈りたいです。これは、将来の目標を見据え、これまでの経験を活かしつつ、目の前の「今」という時間を最大限に、そして意識的に生きるということだと考えています。
例えば、アルバイトも単にお金を稼ぐためだけではなく、将来の仕事や自分の能力向上にどう繋がるかという視点を持って取り組んでみてください。
今取り組んでいる活動、例えばインターンシップであれば、言われた作業をこなすだけでなく、この経験がどのように仕事になるのかを考え、積極的にスキルを磨く機会と捉えることが重要です。将来、人々に良い影響を与えられる人間になるための貴重な一歩だと認識し、目の前の会話の一語一句を大切にしてみてください。
そして、自分の感情を最大限に大切にしてください。心が動くこと、ワクワクすることに時間やお金を惜しまずに挑戦し、たくさんのトライアンドエラーを繰り返してください。学生時代は責任や制約が少なく、最も自由に挑戦できる貴重な時間です。たくさんの失敗から学び、自分自身の可能性を広げていくことが、将来必ず大きなレバレッジとなります。
また、すべての人に尊敬と心配りの愛情を持って接することで、周りの人々から信頼され、愛される人間になることができます。これは43年間生きてきて確信していることです。ピンチや困難な状況に直面した時でも、それを不幸だと決めつけず、どう乗り越えるかを考え、前向きな姿勢を忘れないでください。若い皆さんのエネルギーと可能性は無限大であり、それを最大限に活かして人生を豊かに過ごしてほしいと願っています。
取材担当者(丸山)の感想
学生へのメッセージとして、日々の活動を「今を生きる」ことに繋げ、将来の糧とする意識の重要性を強調されている点が響きました。特に、アルバイトやインターンを単なるタスクとして捉えるのではなく、自身の成長やキャリア形成の一環として捉え直す視点は、すぐに実践できる学びだと感じました。
失敗を恐れずに挑戦すること、そして人との関わり方を大切にすることの重要性も、これからの社会を生きていく上で不可欠な要素だと改めて認識しました。

【株式会社リカバリータイムズの今後の展望】

今後の会社のビジョンについて、具体的な売上目標をどこまで伸ばすといった数字的なこだわりはあまりありません。それよりも大切にしているのは、そこで働く社員が安心して長く働き続けられる環境を創ることです。そのために、例えば売上の10%を利益として確保できるよう事業を見直したり、離職率を下げるための取り組みを進めていく必要性を感じています。
私たちは、働く人々の「豊かな気持ち」を育めるような土台となる会社でありたいと考えています。豊かな気持ちは、お金や能力、他人との比較で得られるものではなく、自分自身で決められるものだと信じています。コップに半分の水が入っているのを見て、「もうこれだけしかない」と思うか、「まだこれだけある」と思うかはその人の心の持ち方次第です。
私たちは、どんな状況にあっても前向きに切り替えられる、心の強い集団を目指したいと考えています。成功した時には皆で喜びを分かち合い、うまくいかなかった時にはそこから学びを得て次に活かす。そうやって、昨日の自分と比べて確実に前に進めているという自信を持てるような、メンタル面をサポートできる企業文化を醸成していきたいです。コツコツと、時には勢いも持ちながら、楽しく企画を練り、実行していく。そんな「面白い」会社には、自然と人が集まってくると考えています。
取材担当者(丸山)の感想
会社の規模拡大よりも、社員が安心して働き続けられる環境、そして働く人々の「豊かな気持ち」を大切にされているというビジョンに感銘を受けました。数字的な目標だけではなく、人の内面的な豊かさを追求する姿勢は、現代の学生が企業選びで重視する点とも合致すると感じます。
社長ご自身が「面白い会社」を目指されているという言葉からも、働くことへの楽しさや前向きなエネルギーが伝わってきました。

■社内の雰囲気


