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こだわりと挑戦が生み出す、愛され続けるお菓子

2025年06月18日

竹下製菓株式会社

こだわりと挑戦が生み出す、愛され続けるお菓子

竹下製菓株式会社は、「おいしい、楽しい商品を作って社会に奉仕する」を経営理念とし、創業以来120年以上堅実な発展を続けている菓子メーカーです。冷菓部門では、クランチバー「ブラックモンブラン」やミルクセーキアイス「ミルクック」、チョコバナナアイス「トラキチ君」を中心商品とし、西日本地区の有力スーパーやコンビニなどに販路を有しています。菓子部門では、九州銘菓「鶴の里」や「ふわふわケーキ」などを九州全域をはじめ全国に展開しています。今回は、120年以上にわたり愛されるロングセラー商品を生み出してきた竹下製菓のものづくりの原点と、これからの挑戦について、代表取締役社長・竹下様にじっくりとお話をお伺いしました。

<聞き手=丸山素輝(学生団体GOAT編集部)>


【竹下様の今までの経緯・背景】

家業である竹下製菓を継いだきっかけは、父が「バトン変わっていいよ」と言ってくれたことが大きかったですが、私自身も物心ついた時から家業をやりたいと思っていました。特に他の選択肢があったわけではなく、自然とそう考えていたのです。

家業に入る前に、大手コンサルティング企業で働いていた時期がありました。そこではかなりハードに働いていましたが、この働き方は20代までしかできないだろうと感じていました。そのため、家業に戻るにあたり、ワークライフバランスを考えた働き方をする必要があると思うようになりました。

前職時代にガムシャラに働くことは自分にとって良い経験だったと感じています。しかし、体調を崩してしまう人も見てきました。仕事が「やらされ感」になった瞬間に難しくなることを感じていました。残業をなくす方向に向かうのは会社の視点としては必要だと理解しつつも、本人がやる気になって「ここまでやりたい」と思っている時にそれができないという声も聞きます。

本当に自分から望んでやっているのか、「やらないとどうにもならなかった」というやらされ感なのかは、外側から判断するのが難しい点です。以前は自身もガムシャラにやっていましたが、立場が変わってからはそれだけでは絶対にダメだと考えるようになりました。

取材担当者(丸山)の感想

竹下社長が幼い頃から家業を継ぐことを自然に考えていたというお話から、会社や事業への深い愛着を感じました。

また、前職での経験を通じて働き方に対する考え方が変化し、従業員の健康や働く上での「やりがい」を重視するようになったという点は、自身のキャリアを考える上で非常に学びになりました。経営者として、個人の成長意欲と組織全体のバランスを取る難しさを感じているというお話も印象的でした。

取材担当者(丸山)の感想

【竹下製菓株式会社の事業・業界について】

竹下製菓の事業は、菓子の製造と卸売が中心です。販売に関しては、直接的な一般消費者(BtoC)への販売ではなく、卸売業者を通じてスーパーやコンビニなどの企業(BtoB)に販売しています。主要な商品には、「ブラックモンブラン」、「ミルクック」、「トラキチ君」といったアイスや、「鶴の里」、「ふわふわケーキ」といったお菓子があります。
商品は、西日本地区を中心としたスーパーやコンビニ等で販売しています。

オンライン販売については、自社で直接販売は行っていますが、力を入れているわけではありません。これは、通常、近くのスーパーやストアで購入できる商品であるため、個別配送のコストが高くなり、ネットでの単価が高くなってしまうためです。どうしても「久々に食べたい」といった需要に応じる形になっています。

会社の強みとしては、やはり「ブラックモンブラン」という商品が長い年月をかけて多くの方に愛されてきたことにあると思います。単なる商品としてだけでなく、人々の思い出と結びついて価値が語られる点が、私たちの強みだと感じています

お菓子事業以外では、サービス業としてホテル事業も行っています。こちらは竹下コーポレーションというグループ会社が担当しており、今後売上規模を伸ばして菓子事業と並ぶ柱にしたいと考えています。また、大阪・関西万博にもカフェとして出店しており、これは急な応募から準備を進めたものです。現在の売上構成は、アイスが約8割を占めています。

取材担当者(丸山)の感想

長年愛される「ブラックモンブラン」の強みが、単なる味だけでなく「思い出」と結びついているというお話に、企業の持つ歴史の重みを感じました。

率直にお話しいただいたことで、事業を取り巻く現実的な側面を知ることができました。万博への出店やホテル事業への挑戦など、伝統を守りつつも新しいことへの意欲も感じられ、魅力的な企業文化だと感じています。

取材担当者(丸山)の感想

【竹下様が働く上で大切にしていること・竹下製菓株式会社の採用について】

社員の皆さんには、気持ちよく、楽しく、やりがいを持って働いてもらいたいと願っています。また、私自身が自然と家業をやりたいと思ったように、自分の子供にもそういう風にやりたいと思ってほしいと思っています。

もし他にやりたいことがあれば応援したいですが、やりたい道が重なったら嬉しいです。働いてくれる方々も含め、自分の子供に自信を持って勧められる会社にしたい、だからこそ良い会社にしていきたいと考えています

新卒採用については、現在営業、製造、商品開発などの部門で募集を行っています。募集人数は、各部門で1名から5名程度と流動的です。これは、特定の人数を目標にするのではなく、応募してくださった方のやりたいことやニーズと、社内でフィットしそうな場所があれば、それに合わせて人数を調整しているためです。良いご縁を大切にしたいと考えています。

中途採用も積極的に行っており、特にUIJターンで一度地元を離れた後に戻ってきたいという方も歓迎しています。そういった方々も多く活躍されています。地元に戻りたいと思っても、働く場所がなければ実現できません。地域に働く場所を提供することの重要性を感じています。

取材担当者(丸山)の感想

従業員の「気持ちよく楽しく働く」ことを第一に考えているという経営姿勢に感銘を受けました。また、採用においては人数よりも「ご縁」を大切にするというお話から、一人ひとりを尊重する姿勢が伝わってきました。

UIJターン採用に力を入れている点も、地域貢献と人材確保の両面から素晴らしい取り組みだと感じます。SNSを若者から学ぶ領域として捉え、社内にノウハウを蓄積していきたいという考えも、今後の時代に合った柔軟な姿勢だと感じました。

取材担当者(丸山)の感想

【竹下様から学生へのメッセージ】

学生のうちにやっておいた方が良いこととして、色々なものを見て知り、見聞を広げることが重要だと思います。社会人になるとまとまった時間が取りづらくなるため、学生時代にもっと様々な場所に行っておけばよかったと感じています
特に、世界中をもっと旅しておけばよかったと思っています。多くの場所に行ったと思っていましたが、まだ行っていない場所、行くべきだったと感じる場所が多くあります。

国が違えば文化もルールも異なりますが、その社会性や文化、ルールが形成されたものには必ず理由があり、歴史が今を作っています。本や写真、インターネット上で見るのと、実際に現場に行って五感で感じる空気感は全く違います。
知らない地域のことは、自分の目で見て、耳で聞いて、五感で感じるべきだと強く思います。外に出て五感で感じることが、最終的に自分の価値観を広げる上で非常に重要なポイントになると考えています。

取材担当者(丸山)の感想

学生時代の貴重な時間の使い方について、具体的なアドバイスをいただけたことは大変参考になりました。

特に、「五感で感じること」の重要性は何よりも説得力があり、今後の行動の指針にしたいと思います。社会人になってからでは難しい経験を積むことの価値を改めて認識できました。

取材担当者(丸山)の感想

【竹下製菓株式会社の今後の展望】

今後の事業イメージとしては、まず主力であるブラックモンブランに次ぐ、第2、第3の柱を育てていくことです。元々お菓子の会社でもあるため、アイスだけでなくお菓子事業も強化し、他事業なども含めて3本柱で会社を安定させていきたいと考えています。また、サービス業であるホテル事業も売上規模を伸ばし、菓子事業と支え合えるようにしたいです。

直近の大きな目標は、全国どこのお店でも買える状態にすることです。現状ではそれができていないため、これを実現するためには、各地の有力なチェーン店との取引を開始するのが一番分かりやすい方法だと考えています。
最終的には、より多くの人に私たちのお菓子を食べてもらい、笑顔になってもらいたいと願っています

取材担当者(丸山)の感想

長年の強みであるブラックモンブランを軸としつつも、新しい柱を育成することでさらなる安定を目指すという明確なビジョンをお伺いできました。

特に、全国展開に向けた具体的な目標や、その実現に向けた課題についても正直にお話しいただけたことで、企業の成長戦略をリアルに理解することができました。多くの人を笑顔にしたいという根底にある思いが、今後の挑戦を支えているのだと感じました。

取材担当者(丸山)の感想