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食を通じて人を幸せにする挑戦

2025年08月13日

株式会社アペックスインターナショナル

食を通じて人を幸せにする挑戦

株式会社アペックスインターナショナルは、A-Fグループに属し、『廻鮮寿司しまなみ』と『HIRO88』を運営しています。A-Fグループは、これらのブランドに加え、『モスバーガー』『ペッパーランチ』『はなまるうどん』『天丼てんや』といったフランチャイズ店舗の運営を行う株式会社ファミリーフードと、この2社で構成されています。私たちは、「食を通じて人を幸せにする」という経営理念のもと、お客様に心から満足していただける商品やサービスを提供し続けています。

私たちのグループは1976年に中国地方初の「モスバーガー」フランチャイズ店舗として事業を開始しました。モスバーガーでの運営を通じてフードビジネスのノウハウを深く習得した後、高級な存在だった寿司をより身近なものにしたいという強い思いから、独自の回転寿司ブランド「廻鮮寿司しまなみ」を立ち上げました。現在、「しまなみ」は「でかネタ」と「心をこめたおもてなし」を特徴とするグルメ型回転寿司の先駆けとして、広島・岡山エリアを中心に店舗を展開し、独自の地位を築いています。

さらに、お客様により喜んでいただくために、2015年には海鮮丼専門店の「HIRO88」を新業態としてオープンさせました。私たちはこれからも「食を通じて人を幸せにする」という経営理念のもと、お客様へよりご満足いただけるよう、仕入れや商品、サービス展開において挑戦を続けてまいります。今回は、「食を通じて人を幸せにする」という理念の背景や、地域に愛されるブランドづくりへの想い、そして今後のビジョンについて、代表取締役社長 林原 有香様にじっくりとお話をお伺いしました。

<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>


【会社設立の背景と歴史】

当社の創業は49年前、私の父が、モスバーガーのFC加盟店に入ったのが最初のきっかけです。当時、日本ではハンバーガーが一般的ではなく、肉を食べる文化すらほとんどなかったと聞きます。父は、広島県の瀬戸内で魚中心の食生活で育ったため、アメリカのカンザス大学での留学中にマクドナルドのフランチャイズビジネスを目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。

当時の日本は、家族経営の小規模な飲食店がほとんどで、職人でなければ作れない料理が一般的でした。しかし、父はフランチャイズシステム、すなわち熟練の職人でなくてもアルバイトの方がハンバーガーを作れるというビジネスのあり方に深く感銘を受けました。日本に戻った後、父はハンバーガー店を立ち上げ、フランチャイズビジネスを展開するという夢を抱きました。会社を立ち上げたのは29歳の時で、脱サラ後、銀行からの信用を得られなかったため、親戚から資金を集め、約300万円を元手に非常に小さな店舗をオープンさせました。

当初、福山駅周辺の賑わいから外れた三等地という立地もあり、ハンバーガーという商品も馴染みが薄く、お客様には「ハンバーグのお惣菜」と誤解されることもありました。開店当初は1店舗あたりの月の売上が96万円と非常に厳しい状況でしたが、時代とともに需要が増加し、最終的には最大で930万円以上を売り上げる繁盛店へと成長しました。現在もその1号店は福山市の駅前大通りに移転して残っており、モスバーガーのフランチャイズ店舗の中でも49年間続いている非常に古い店舗の一つです。

取材担当者(石嵜)の感想

創業者の林原会長が、まだハンバーガー文化が根付いていない時代に、アメリカでフランチャイズビジネスと肉食文化に出会い、日本に持ち込もうと決意された話は、その先見性と挑戦的な精神に非常に感銘を受けました。特に、資金調達の苦労や、ハンバーガーが地域に受け入れられるまでの試行錯誤は、どのような事業も最初は困難を伴うことを教えてくれます。しかし、その中で諦めずに事業を成長させてきた粘り強さが、今の会社の基盤となっているのだと感じました。

取材担当者(石嵜)の感想

【事業と業界について】

モスバーガーは日本生まれのハンバーガーチェーンであり、当社の会長と同じく、創業者の方もアメリカでの体験から日本にハンバーガーを広めたいと考えました。モスバーガーは、アメリカのバーガーの味をそのまま再現するのではなく、日本人好みにアレンジしたハンバーガーを提供しています。例えば、照り焼きバーガーや焼肉ライスバーガー、米粉を使ったモスチキンなどはモスバーガーが初めて開発した商品です

マクドナルドのように全てをオートメーション化したフランチャイズとは異なり、モスバーガーは今でも野菜を手切りしたり、トマトを丸ごと仕入れて店内でカットしたりと、一つ手間をかけています。これは、お客様に最高の美味しさを提供するためのこだわりであり、モスバーガーの大きな特徴です。美味しさの追求だけでなく、衛生面や食材の仕入れ・調達においても非常に厳しい基準を設けています。

このようなモスバーガーで培ったフードビジネスのノウハウを活かし、私たちはオリジナルブランドの回転寿司「しまなみ」を立ち上げました。26年前の創業当時、100円寿司は存在せず、立ち食い寿司かファミリー向けにアレンジされた回転寿司が主流でした。私たちは「グルメ型回転寿司」という新しいコンセプトで、瀬戸内の地魚や全国各地の旬の鮮魚を仕入れ、ネタとの相性を追求した人肌のシャリ、そして妥協しない職人技で、お客様に最高の寿司を提供しています。お客様の笑顔と「美味しい」という言葉が私たちの喜びであり、最高の評価です。

取材担当(石嵜)の感想

モスバーガーが日本人好みにアレンジされた商品開発や、手作業での食材準備にこだわっている点は、顧客への深い配慮を感じさせます。また、そのノウハウを活かして立ち上げた「廻鮮寿司しまなみ」が、独自の「グルメ型回転寿司」というニッチな市場を切り開いた話は、既存の枠にとらわれずに新しい価値を創造することの重要性を示しています。食を通じてお客様に「幸せ」を提供するという理念が、具体的な商品やサービスにどう結びついているのか、とてもよく理解できました。

取材担当(石嵜)の感想

【働く環境と人材育成】

飲食業において、最も重要なのは「人」です。私たちは、採用した人が店舗で成長し、長く定着してもらうことを重視しています。私自身は人事としてキャリアをスタートし、採用に携わってきましたが、出産を経て経理・総務へ移り、お金を扱うことの重みを実感しました。通帳一つから会社の利益や資産の積み重ねを見た時、経営に携わることの難しさと責任を痛感しました。

どんなに優秀な経営者でも、一人では何もできません。会社として重要なのは、私たちの理念や考え方に共感し、ついてきてくれる人材がいかに多くいるかです。飲食業では、単にビジネススキルを求めるだけでなく、「食べることに携わることが好き」「人に関わることが好き」「お客様のためにどういう空間やサービスを提供できるか」を考えられる方を求めています。そして、ファミリーフードの理念に賛同し、同じ志で働いてくれる方を一人でも多く集め、共に働くことが大切だと考えています

私たちは、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐために、採用プロセスに工夫を凝らしています。例えば、応募前の見学やインターンシップを通じて、実際の店舗の雰囲気を体験してもらい、社員や年の近い先輩と何度も話し合い、働くイメージを具体的に持ってもらうことを重視しています。

外部の求人広告に頼るのではなく、現在2社合わせて約500名いる従業員の中から、私たちの理念を理解し、成長してくれる人材を社員として引き上げていくインナー採用に力を入れています。アルバイト経験から社員になる方も多く、社内でのキャリアパスも整備されています。また、店長には売上や利益だけでなく、人材育成やモラル、理念の推進といった多岐にわたる役割を求め、評価制度にも反映させています。

取材担当(石嵜)の感想

飲食業界で「人」を最も重視するというお話は、非常に共感できました。特に、応募前の見学やインターンを通じて、入社後のギャップをなくす努力をされている点は、学生にとって非常に安心材料になると思います。ただお金や福利厚生だけでなく、企業の理念や文化に共感できる人を大切にする姿勢は、早期離職を防ぐ上で非常に重要だと感じました。店長に求められるモラルや人材育成の能力といった資質にも言及されており、社員一人ひとりの成長を真剣に考えている会社だと伝わってきました。

取材担当(石嵜)の感想

【企業文化と理念】

私たちの経営理念は、「食を通じて人を幸せにする」ことです。これは、単に美味しい料理を提供するだけでなく、お客様が「おいしかったよ」「また来るね」と言ってくださることに最大の喜びを感じるという考えに基づいています。お客様が幸せに感じられるお店作りこそが、私たちのビジネスの根幹です。そのためには、安心・安全・健康といった要素も非常に重要であり、環境保全活動にも積極的に取り組むことで、地域社会に貢献することを目指しています。

また、この理念は、お客様だけでなく、従業員一人ひとりの幸せにもつながっています。お店で働く人々の基本的人権を尊重し、それぞれの個性や人格を重んじることで、安全で健康的で快適な職場環境を創り出すことを目指しています。真心こもったサービスは、このような職場から生まれると考えています。私たちは、お客様に喜びを提供することを通して、働く私たち自身もやりがいや喜びを感じられるような会社でありたいと願っています。

どんなに素晴らしい商品やサービスがあっても、それを支えるのは「人」です。私たちは、同じ価値観や理念を共有し、お客様のために何ができるかを自ら考え、行動できる集団を目指しています。一人ひとりが自分のお店として捉え、目標を設定し、実行し、振り返ることで、会社全体としてより良いサービスを提供できるよう日々努力を重ねています。この「人」を基盤とした文化こそが、私たちが目指す「中身のある会社」を形成しているのです

取材担当(石嵜)の感想

「食を通じて人を幸せにする」という理念が、お客様へのサービスはもちろんのこと、従業員の働きがいや職場環境の整備にまで一貫して貫かれていることに感銘を受けました。特に、従業員が「自分のお店」として主体的に考え、行動することを促す文化は、個人の成長と会社の発展が密接に結びついている証だと感じます。このような明確な理念を持つ企業文化は、学生が長期的なキャリアを考える上で非常に魅力的だと感じました。

取材担当(石嵜)の感想

【今後のビジョンと目標】

数値的な目標としては、2社合わせて売上規模30億円を目指し、ロイヤリティを除く経常利益率10%、自己資本比率の向上を図り、何があっても大丈夫な筋肉質な会社を目指しています。しかし、私たちは単に規模を大きくしたり、出店を繰り返したりすることだけを追求しているわけではありません。もちろん、チャンスがあれば出店やM&Aも検討しますが、それ以上に重要なのは「中身のある会社」を作ることです。

私たちが提供するのは「食」という、人々の命を司る大切なものです。お客様に「このお店はなんだ」と思われるような店を数多く作ったとしても、誰も幸せにはなりません。だからこそ、今日来店されるお客様に、空間、サービス、そして衛生的で美味しい商品を提供し、心から幸せを感じていただくことが私たちのビジネスの中心にあるのです。このお客様を幸せにするという目標には、やはり「人」の力が不可欠です。

私たちは、中四国地方の広島県と岡山県に店舗を展開しており、地域の業者様や福山大学さんとの産学連携など、地元との繋がりを大切にしています。この地で長くビジネスを続けていくために、地元のお客様からの支持をいただき、地元の企業様と共に発展していくことを考えています。飲食業界には様々な課題がありますが、お客様、従業員、そして取引先の皆様が皆幸せになれる関係を築きながら、「食を通じて人を幸せにする」という理念をこれからも追求し続けてまいります。

取材担当(石嵜)の感想

数値目標だけでなく、「中身のある会社」を目指すというビジョンに、企業の真髄を感じました。単なる拡大ではなく、お客様の幸せを最優先に考え、それを実現するために「人」が最も重要であるという考え方は、学生にとっても深い学びとなるでしょう。地域社会との連携を重視し、持続可能なビジネスモデルを追求する姿勢は、現代の企業に求められる社会貢献のあり方を示していると感じました。林原社長の言葉から、未来への明確なビジョンと、それを実現するための強い覚悟が伝わってきました。

取材担当(石嵜)の感想

【学生へのメッセージ】

就職活動や将来の仕事について考えている学生の皆さんには、まず「自分が何が好きで、どういった価値を提供できるのか」を一生懸命考えてほしいと思います。仕事をする喜びは、自分が社会の役に立っていると感じられることでしか究極的には得られません。学生時代には考える時間がたくさんありますから、この機会にじっくりと自己分析をしてください。

そして、仕事を選んで入社したなら、「石の上にも三年」と言われるように、まずは3年間頑張ってみることをお勧めします。この3年間で、嫌な上司や人間関係の困難、仕事に慣れてやりがいを感じられなくなるなど、様々なことが起こるかもしれません。しかし、どんな仕事についても、その困難を自分で乗り越えなければ、真の喜びは見つからないものです。次の会社に行けば見つかるのではないかと思いがちですが、どこに行っても同じような状況に直面する可能性が高いからです。

飲食業は、お客様と直接触れ合う仕事です。お客様から「おいしかったよ」「また来るね」という言葉をいただくことは、最大のやりがいであり、自分の役割を最も強く感じられる瞬間です。私たちは、そういった喜びを感じられる方と一緒に働きたいと願っています。今の学生の皆さんは、コロナ禍で人と関わる機会が限られてきたかもしれませんが、ネットの情報やAIの答えだけでなく、実際に足を運び、体験を通じて「なるほど」と感じる経験をたくさんしてほしいと思います。それが、皆さんの将来の仕事選びにおいて、本当に自分がやりたいことを見つけるヒントになるはずです。

取材担当者(石嵜)の感想

学生へのメッセージとして、「自分の好き」を追求することと、「石の上にも三年」という言葉の重みを強調されていたのが印象的でした。特に、コロナ禍を過ごした今の学生たちに対して、バーチャルな体験だけでなく、実際に現場に足を運び、人と出会うことの重要性を説かれていた点は、現代社会で失われがちな貴重な視点だと感じました。お客様からの直接の感謝が最大のやりがいであるという飲食業の魅力を、これからの世代に伝えていきたいという熱い想いが伝わってきました。

取材担当者(石嵜)の感想