株式会社Phoenixテクノロジーズは、エンジニアが活躍できる幅広い場を創出し、発展させている企業です。エンジニア派遣やシステムエンジニアリング(SES)を主軸に、Web系、オープン系、DXなど多様な分野のシステム開発、運用、保守を手掛けています。さらに、テクノロジーと他産業を組み合わせるクロステックサービスや、海外エンジニア採用支援、システム開発も行っています。特に、国籍、性別、年齢に捉われず、「おっちゃんエンジニア」「女のエンジニア」「微経験エンジニア」といった多様な人材が活躍できる場を提供しているのが特徴です。今回は、エンジニアが自分らしく働ける環境づくりと、グローバルかつ多様な人材活用に向けた取り組みについて、代表取締役社長・岩崎様にじっくりとお話をお伺いしました。
<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>
【岩崎様の今までの経緯・背景】

私が会社を立ち上げたのは、正直なところ、大きな志があったわけではありません。人材派遣の免許を取得したことがきっかけとなり、流れと偶発的な出来事からこの事業を始めることになりました。人材派遣の申請手続きは会社設立後に進め、約半年後に許認可を得ました。その間に事業の構想を練り上げたのが実情です。
私はヤマト運輸に20年間勤務していましたが、組織に馴染めなかったことから、自らを社会不適合者と感じ、自身で会社を設立するしかないと考えるようになりました。当時は、上司や組織のルールの中で自分を表現し、昇進していくことがとても難しいことだと感じていました。会社設立を決意した際、どのような事業を展開し、どのような景色を見たいかと考え始めたのです。
私は就職の超氷河期世代であり、景気の良い時代を経験していません。そのため、少し上の世代の先輩方が経験したような豊かな生活や「遊び」を味わってみたいという憧れがありました。また、前澤友作さんのような起業家は、何か異なる景色を見ているのではないかと感じ、自分もそのような存在になれたら面白いだろうという純粋な気持ちが、この事業を始める原動力の一つとなりました。
取材担当者(石嵜)の感想
岩崎社長が会社を立ち上げた背景には、強い意志よりも自身の経験や社会への漠然とした思いが影響していると感じました。既存の組織に馴染めなかったからこそ新たな場を創出した点には凄まじい行動力とチャレンジ精神を感じました。上の世代の「遊び」や起業家が見る「違う景色」への憧れが、純粋な好奇心と原動力になっていることに刺激を受け、今の学生にも共感できる部分なのではと思いました。

【株式会社Phoenixテクノロジーズの事業・業界について】

起業して最初に痛感したのは、知らないことの多さでした。健康保険の加入方法さえ知らず、基本的な事務手続きの全てを自ら調べて学びました。20年間の勤務経験で培った自信があっても、社会では通用しないことが数多く存在し、経営者として的確な判断を下すためには、あらゆる知識を自ら習得する努力が必要であると今も感じています。
私たちの事業はSES(システムエンジニアリングサービス)が中心ですが、この業界には様々な情報が飛び交っています。しかし、悪い情報が全て悪だとは考えていません。見えにくい業界だからこそ、現実を包み隠さず伝え、評価していただくことを重視しています。良い面も悪い面も正直に伝えることで、透明性を保ち、信頼を築きたいと考えています。
当社の大きな特徴は、国籍、性別、年齢に捉われず、多様な人材を積極的に採用している点です。設立当初は「おっちゃんエンジニア」に注力し、昨年からは「微経験プロジェクト」として、プログラミングスクールを卒業しながらも就職の壁に直面する方々に機会を提供しています。さらに、「女性のエンジニア」プロジェクトも推進しており、出産や結婚などでキャリアにブランクがある女性エンジニアも積極的に採用しています。私は、プログラマーを目指すのであれば、基本的なプログラミング学習は不可欠だと考えており、特に学生の皆さんには、大手の企業で教育を受けられる貴重な機会を最大限に活用してほしいと願っています。
取材担当(石嵜)の感想
岩崎社長が起業初期に「知らないことだらけ」だったという苦労は、多くの起業家が経験するのかなとイメージできました。また、多様なエンジニア層(おっちゃん、微経験者、女性)への注力は革新的だと感じました。特に、プログラミング学習の重要性を強調されている点は、学生にとって具体的な指針となるメッセージだと考えます。

【岩崎様から学生へのメッセージ】

会社と個人の関係性において、「愛社精神」に過度にこだわる必要はないと考えています。会社が魅力を高め、働く側も必要とされる能力を身につけることで、良好な関係性が構築され、愛社精神は自然に育まれるものと考えます。会社は、個々人が自身の将来像を実現できる場所であれば良いのです。様々な「欲しいもの」が得られる場として、会社を客観的に活用すれば良いと考えています。
もちろん、入社時の第一印象は重要であるため、魅力的な入り口を作る努力は怠りません。しかし、その後の実態は正直に伝えて良いと考えています。雇用は契約であり、その内容を全うし、それに見合った対価を受け取るものです。互いがこのシステムを効果的に活用し合うことが重要であると捉えています。
この業界は多様な働き方を受け入れています。会社は、個々人が期待値まで到達することで、本人も報われ、会社も成長するシステムです。契約を全うした上で、さらに上を目指す意欲が出てくるのは自然なことです。もし将来的に自身で会社を立ち上げたいと考える方がいれば、それも大歓迎です。積極的に挑戦してほしいと願っています。
取材担当(石嵜)の感想
「愛社精神」に固執せず、会社と個人の関係性を「互いに利用し合う」という視点は、現代の若者の価値観にフィットしていると感じました。会社の役割を「個人の将来像を実現する場所」と定義し、個人の「欲」を肯定的に捉える姿勢は、働くことの本質を突いています。起業を目指す人にも寛容な点は、従業員の自立性や成長を願う新しい時代の経営哲学だと感じました。

【株式会社Phoenixテクノロジーズの今後の展望】

現在、従業員は約150名で、創業から6年目を迎えます。この急速な成長は、ある意味でコロナ禍がきっかけだったと捉えています。創業期は余裕がなく、「やるしかない」という一心で突き進んだ結果、多くの仲間が集まり、会社が拡大しました。「ピンチの時には逆転の発想が有効」という言葉を実践した形です。
今後は、より目立つ場所に事務所を移転する予定です。働く人々が会社に訪れやすく、仕事終わりに立ち寄れるような、より身近な存在になりたいと考えています。大阪だけでなく、東京、福岡、将来的には名古屋など主要都市に、小規模な営業所を点々と構え、メンバーが気軽に交流できるアットホームな場所を増やしていきたいと考えています。
私たちの目標は、まず会社を大きくすることです。将来、「どこの会社で働いているの?」と問われた際に、「ああ、知っているよ!」と言われるような、社会に認知された会社にしたいと考えています。それが、働く人々の誇りにも繋がると信じています。売上高としては、100億円を目指し、さらに大きく成長していきたいと考えています。人員を増やし、そこから収益を得るビジネスモデルは現実的であり、会社を成長させ、大きな目標を実現するためには不可欠であると認識しています。
取材担当(石嵜)の感想
岩崎社長が会社の成長を「コロナのおかげ」と語る部分は、逆境をチャンスに変える経営者の視点に感銘を受けました。未来のビジョンとして、目立つ場所へのオフィス移転や主要都市への拠点展開は、従業員との距離を縮める配慮が感じられます。
売上100億円という目標と共に、「知っている」と言われる会社を目指す思いは、社会的な認知や従業員の誇りを大切にされている証です。人を増やすビジネスモデルを率直に語られる姿勢も、学生が業界のリアルを理解する上で有益だと感じました。
