企業紹介
株式会社エフ・ジェイ ホテルズは、「おどろきのホテルを、世界へ。」をコンセプトに、お客様に特別な宿泊体験を提供しています。全国に14のホテルを展開し(ハイアット プレイス 京都、ホテルフォルツァ各所、ザ・ベーシックス福岡、ザ・レジデンシャルスイート・福岡など)、お客様へのおもてなしを追及する多様なブランドで事業を展開しています。『おどろきのホテルを、世界へ。』の理念のもと、全国14ホテルで“宿泊特化×おもてなし”を磨き続ける歩みと、これからの挑戦について――代表取締役社長・中島様にじっくりとお話を伺いました。
<聞き手=高橋宏輔(学生団体GOAT編集部)>
【入社の経緯・社長就任の背景】

私は1998年に当社の親会社に入社し、長年勤務しました。 直近では人材開発部の部長を務めていました。 親会社では通常、3年から5年程度のスパンで部署異動があります。 その異動のタイミングで、エフ・ジェイ ホテルズというグループ会社の体制変更に伴い、社長への打診を受けました。
かつてエフ・ジェイ ホテルズの人事担当を務めた経験から、会社の事情をある程度把握していました。 加えて、当時はコロナ禍でホテル業界が甚大なダメージを受けており、社員のケアが急務という判断があったのだと思います。 この打診は、私にとって二度と巡ってこないチャンスだと捉え、引き受ける決断をしました。
人事の仕事にやりがいは感じていましたが、たとえ得意ではないことでも、人から「やってみないか」と声をかけられたら、挑戦してみるべきだというのが若い頃からの私の考えです。 これは、昔の上司に言われた言葉でもあります。 私はこれをチャンスだと認識し、「やります」と答えました。
取材担当者(高橋)の感想
中島社長が自らの意志でキャリアを選び取ったことに感銘を受けました。特に「やらない」という選択がチャンスを閉ざすという考えは、私たちZ世代のキャリア選択に示唆に富んでいます。コロナ禍という厳しい状況下で会社の未来と社員を思い、重責を引き受けた行動力と決断力は、まさに行動力とチャレンジ精神を体現していると思います。

【社長就任後の挑戦と苦労】

社長を引き受ける決断をしたものの、経営は初めての経験であり、現在も手探りの状態が続いています。 社員たちは素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれていますが、経営者としての振る舞いや判断は、まだ経験したことのないことばかりです。
社会人になっても、経験のない仕事に直面することは多々あります。 そこで立ち止まるべきではないと考えています。 経験がないからと諦めれば、その仕事のチャンスは二度と得られません。 しかし、挑戦してみればきっと何かを得られるはずです。 現在、当社の社員は皆、そのような意識で働いていると感じています。
社長就任から丸2年が経ち、現在は3年目に入りました。 この期間、周りの役員や部長、グループ内の他の会社の社長や親会社の役員の方々など、多くの方々に支えられ、何とか経営を続けています。 私一人では到底成し得ないことであり、周囲の支えに感謝しています。
取材担当者(高橋)の感想
中島社長が、未経験の経営に対する『今』の苦労を率直に語られたことは印象的でした。 大企業の社長であっても未経験分野では手探りで進む姿は、私たち学生が抱える「経験不足」の悩みと重なり、親近感を覚えました。「やったことがないから」と諦めず、「やってみれば何か得るものがある」という言葉は、私たちZ世代が新たな挑戦に踏み出す上で大きな勇気を与えてくれると感じます。

【社員と共に創る企業文化と人材育成】

社長就任からの3年間で、社内の雰囲気を変える取り組みを進めてきました。 コロナ禍で社員が指示待ちになりがちだと感じたため、社員が自らホテルを良くしていくムードに変えたいと考えています。 そこで、ホテルの課題を自分たちで解決してほしいという思いから、部門を横断したプロジェクトチームを立ち上げました。
日々の業務に追われる中で課題解決に専念できるよう、前期は若干人員に余裕を持たせ、ホテルを良くする取り組みを試みました。 主な課題はビジョンの浸透と業務効率化です。 ホテル業界は人手不足が課題であり、お客様と接する時間を長く取るため、事務作業などお客様満足度を高める以外の作業はなるべくなくしたいと考えています。 効率化、自動化、あるいは作業そのものをなくすチームを編成し、取り組みました。
また、今後ホテルをさらに増やしていくため、新しい支配人の育成は不可欠です。 支配人を早期に育成するプロジェクトを進め、以前とは異なり、何をいつまでにマスターするかというロードマップを作成し、育成の仕組みを整えました。 加えて、新しいホテルの開発を見据え、未来の宿泊体験がどうあるべきかを考えるプロジェクトを若手社員に任せ、アイデアを出してもらっています。 実際に、20代の若い社員が非常に多く活躍しています。
当社の離職率はサービス業の中では決して高くはありませんが、さらに下げたいという思いがあります。社員に長く働いてもらうため、多様なキャリアパスを提供したいと考えています。 接客が好きな方にはフロント職を、キャリアアップを目指す方には支配人昇格への道、本部のオフィス系キャリアも用意しています。 育児などライフイベントを大事にしたい時期にはその期間に合った仕事を提供し、個々のライフプランに合わせたキャリアの積み方を提供できるよう努めています。
取材担当者(高橋)の感想
エフ・ジェイ ホテルズでは、コロナ禍を経て、社員の主体性を育む具体的な取り組みがされていることに感銘を受けました。特に、部門横断のプロジェクトチームや、未来のホテル体験を若手社員に考えさせるプロジェクトは、社員一人ひとりの成長を促し、会社全体の活性化に繋がる素晴らしい施策だと感じます。
20代の離職率をさらに下げたいという社長の思いから、社員の多様なキャリアパスをきめ細やかに提供しようとしている点も、私たちZ世代が重視する「個人の成長」と「ワークライフバランス」に配慮した魅力的な環境だと感じました。

【お客様への徹底した提供価値と未来への展望】

常に、すべての産業がそうであるように、私たちはお客様に選ばれる立場であるため、お客様の需要やニーズに合わせたものを提供していかなければならないと考えています。 私たちが良いと思うものではなく、お客様が本当に求めているものを提供する必要があると感じています。 そのため、お客様の声を聞くだけでなく、さらに深く掘り下げて「お客様に憑依する」という言葉を使っています。
お客様に憑依するとは、お客様の気持ちになることです。 お客様がなぜこのホテルを選び、何を求めてご宿泊されるのかを、お客様自身が明確に言葉にできない部分まで深掘りし、サービスを作っていきたいと考えています。 お客様が宿泊体験を具体的にイメージし、最適な選択ができるよう、ホテルの魅力を伝える努力も重要だと考えています。
当社が運営するホテルフォルツァは全国に11拠点を展開していますが、まだ世の中に広く知られたブランドとは言えません。 しかし、その中でわざわざ当社を見つけて入社し、勤め続けてくれる社員がいるのは、非常にありがたいことです。 それはやはり「このホテルが好きだ」「この会社のビジョンに共感する」といった、ホテルや会社の価値観に共鳴する部分があるからだと考えています。 働く意義や、当社が大事にしている価値観を共有するため、全社横断のビジョン浸透チームを作り、社内や各ホテルで共有活動をしています。
今後の事業ビジョンとしては、ホテルをさらに増やしていきたいと考えています。 そのためには支配人の育成が不可欠です。 ホテル運営の効率化を進め、お客様との接点を深くする努力を続け、お客様の期待を超える宿泊体験を提供することに重点を置いていきます。
取材担当者(高橋)の感想
「お客様に憑依する」という言葉に、中島社長のお客様への深い洞察と、ホスピタリティへのこだわりを感じました。 お客様が言葉にできない潜在的なニーズまで読み解き、サービスに反映させていく姿勢は、まさにプロフェッショナルだと感じます。
知名度が高くない中でも社員が長く働き続けてくれる理由を、会社のビジョンや価値観の共有に見出している点、そしてそれを実現するための具体的なチーム作りをしている点も、企業としての強みであると感じました。 未来の宿泊体験を追求する姿勢は、私たち若者が求める「ワクワクする体験」と合致しており、今後のエフ・ジェイホテルズの発展が非常に楽しみです。
