中銀インテグレーション株式会社は、「人生100年時代」を美しく生き抜くために、中高齢者の方々が新たな生きがいや楽しみを見つけられる環境づくりを目指している企業です。シニア事業「ライフケア」を中心に、高齢者向けマンションの管理、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の運営など、多岐にわたる事業を展開しています。今回は、同社の代表取締役である渡辺社長に、会社の設立背景から今後の展望、そして就職活動を行う学生へのメッセージまで、幅広くお話を伺いました。今回は、「人生100年時代」にふさわしい住環境の提供を目指す中銀インテグレーション株式会社の取り組み、そしてその根底にある想いについて、代表取締役・渡辺社長にじっくりとお話を伺いました。
<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>
【渡辺様の今までの経緯・背景】

当社の創業者は私の父です。元々弁護士でしたが、戦後の混乱期に苦労した経験から不動産業に転身しました。貸しビルの経営から始まり、海外視察で集合住宅の可能性を感じ、日本で初めて「マンシオン」という名称を用いた事業を始めました。フランス語の「マンシオン(邸宅)」から着想を得たこのネーミングは、弁護士であった父が商標登録を行いました。
その後、アメリカで見た高齢者住宅の明るい雰囲気に感銘を受け、日本でも高齢者が生き生きと暮らせる住まいを提供したいと考え、「ライフケア」という生活をバックアップする理念のもと、55歳以上の定年退職者向けのシニアマンション事業を開始しました。当時、シニア事業は株式会社設立が一般的ではなかった中で、父は競争原理が働くからこそ株式会社でやる意義があると考え、事業を推進しました。
私は兄弟の中で末っ子だったため、当初は家業を継ぐとは考えていませんでした。一般の不動産会社に就職し、飛び込み営業など様々な経験を積む中で、いつかトップに立ちたいという野心を持つようになりました。その後、父の他界を機に、複数の会社があった中でシニアマンションの管理を承継することになりました。31歳という若さで経営者となった私は、就任時に幹部社員に対し、父のやり方にとらわれず、社員の力を借りながら会社を経営していくと伝えました。
取材担当者(石嵜)の感想
渡辺社長が家業を継ぐまでの経緯を伺い、一代で会社を築き上げた創業者であるお父様のバイタリティと、それを引き継ぎながらも自身の考えをしっかりと持っている渡辺社長の信念を感じました。特に、若い頃からトップを目指していたというお話や、31歳で社長に就任された際の決意表明は、学生にとって自身のキャリアを考える上で大きな刺激になるのではないでしょうか。

【中銀インテグレーションの事業・業界について】

当社のシニア事業「ライフケア」は、単に住まいを提供するだけでなく、入居者の方々が生きがいを持って生活できるよう、様々な取り組みを行っています。高齢者の方々が孤立せず、積極的に社会と関わる機会を創出するため、各施設で様々なイベントを企画・運営しています。これは、単に従業員の福利厚生のためではなく、お客様の生活を活性化し、人生を豊かにするための活動です。
高齢になっても活躍できる場所を提供することが重要だと考えています。頼られることで人は生きがいを感じるため、会社としてそうした機会を作っていくことが使命です。イベントの企画・運営には、従業員と入居者の方が一緒になって取り組むこともあり、世代間の交流も生まれています。また、地域の方々との交流を目的としたスプリングマーケットのようなイベントも開催し、地域社会との繋がりを大切にしています。シニア事業を行う上で苦労することもあります。
特に、入居者同士の人間関係におけるトラブルの解決は、デリケートで難しい課題です。しかし、そうした経験を通して、人間関係の本質や、コミュニティを維持していくことの重要性を学びました。会社としては、お客様同士の意見の対立に対し、安易に白黒をつけるのではなく、時間経過による解決を促すなど、慎重な対応を心がけています。
取材担当(石嵜)の感想
高齢者向けの事業は、単にサービスを提供するだけでなく、入居者の方々の心のケアや生きがいづくりまでを包括的にサポートする必要があるのだと改めて認識しました。渡辺社長が、イベントを通じて入居者の方々の「晴れの舞台」を作りたいと語っていたのが印象的でした。人生の先輩である高齢者の方々から学びを得ながら、共に喜びを分かち合えるこの仕事は、非常にやりがいのある仕事だと感じました。

【渡辺社長の考え方】

私は、社員一人ひとりの力を信じ、チームワークを重視する経営を行っています。自身が31歳で社長になった際、経験豊富な幹部社員に助けを求め、皆で会社を支えていくという姿勢を示しました。トップダウンではなく、社員の意見を聞き、共に成長していくという考え方が根底にあります。社内においては、個人の成績だけでなく、周囲との協調性やチームへの貢献を重視する文化を育んでいます。
ナンバーワンを目指す人がいれば、周囲がそれを叩くような風潮があると感じ、個人の功績を誇示するのではなく、周りの支えがあってこそ成果が出せるという謙虚な姿勢を大切にしています。これは、お客様である高齢者の方々の人間関係にも通じる考え方です。また、公私混同せず、冷静に物事を判断することを心掛けています。幼少期の家庭環境から、感情に左右されず、客観的に状況を把握する力を養ってきました。これは、社内外の様々な人間関係において、円滑なコミュニケーションを図る上で重要な要素となっています。
取材担当(石嵜)の感想
渡辺社長の、社員を信頼し、共に成長していくというリーダーシップのあり方に感銘を受けました。特に、ご自身の経験を踏まえ、感情に流されず冷静に判断することの重要性を語っていた点が印象的でした。組織の中で働く上で、周囲との協力や感謝の気持ちを持つことの大切さを改めて学びました。

【中銀インテグレーションの今後の展望】

今後については、シニアマンションの管理物件数を増やしていくとともに、既存のコミュニティの中身をより充実させていきたいと考えています。高齢化が進む現代において、入居者の方々の年齢層も変化しており、それぞれの世代が持つ価値観を理解し、尊重しながら、より良いコミュニティを育んでいくことが重要だと考えています。
そのためにも、高齢者の方々がそれぞれの経験や知識を活かし、活躍できる場所をさらに創造していくことが、今後の大きな目標です。イベントの開催だけでなく、仕事や役割を提供することで、高齢者の方々の生きがいを創出し、活力ある生活をサポートしていきたいと考えています。若い世代が高齢者の知恵や経験に学び、頼ることも、これからの社会において重要になると考えています。
取材担当(石嵜)の感想
渡辺社長の、高齢者の方々がいくつになっても生きがいを持ち、社会との繋がりを保ち続けられるような環境を作りたいという強い思いが伝わってきました。単なる高齢者住宅の運営ではなく、「活躍できる場所」を提供するという視点は、これからの高齢化社会において非常に重要な考え方だと感じました。

【渡辺様から学生へのメッセージ】

就職活動を行う学生に向けて伝えたいのは、表面的な情報だけでなく、会社の中身、特に「ソフトの部分」を理解することが大切だということです。実際に働いている社員の雰囲気や、会社の文化などを事前に知る努力をすることが、入社後のミスマッチを防ぐ上で重要です。かつては新聞広告や求人情報誌が主な採用媒体でしたが、現在はインターネットなどを活用する企業が増えています。
仕事は決して楽ではありませんが、その中で「楽しい」と思えるかどうか、そして何のために働くのかという目的意識を持つことが、長く働き続ける上で重要です。特に、人の役に立つ仕事においては、お客様の喜びを実感できることが大きなやりがいにつながります。私自身の就職活動の経験から、会社の規模だけでなく、社長と直接会って話せるような中小企業を選ぶことも一つの考え方だと思います。
成長していく過程を間近で見ることができ、そこで得られる経験は貴重です。最後に、時代が変わり最近では、うまくいかないことがあれば我慢するだけでなく、「嫌なら辞めればいい」という選択肢もあります。しかし、他者のせいにしたり自分自身から逃げたりせずに、主体的に自分のキャリアを選択していくことの大切さを知ってほしいと思います。
取材担当者(石嵜)の感想
渡辺社長の、就職活動における本質的なアドバイスは、私自身にとっても非常に学びになりました。企業の規模や知名度だけでなく、実際に働く人々の雰囲気や、自分がその会社で何を実現したいのかを深く考えることの重要性を改めて認識しました。また、「嫌なら辞めればいい」という言葉は、主体的に自分の人生を選択していく勇気を与えてくれる力強いメッセージだと感じました。
