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旅館再生で挑む、永続経営の道

2025年07月22日

株式会社MANPA RESOET

旅館再生で挑む、永続経営の道

和歌浦温泉 萬波 MANPA RESORT様は、和歌浦湾を一望できる絶景の温泉露天風呂が人気の旅館です。美しい内装とロケーションにこだわり、漁港から直接仕入れる新鮮な魚介類など、食材にも力を入れています。お客様に最高の癒やしと体験を提供することを追求し、地域に根ざした永続的な経営を目指しています。今回は、旅館業の未来を見据えた再生への取り組み、そして地域と共に歩む永続経営への想いについて、代表取締役社長・坂口様にじっくりとお話をお伺いしました。

<聞き手=高橋宏輔(学生団体GOAT編集部)>


【坂口様の入社の経緯・背景】

旅館業って、「旅館の息子に生まれないとできない」って言われるぐらい、特殊な世界なんですよね。実際、僕自身も旅館の息子として生まれて、そのまま家業を継ぐことになりました。

でもすぐに継いだわけじゃなくて、一度は3年間サラリーマンをやっていました。その経験は今でもすごく活きてると思っています。というのも、旅館が一時期うまくいかなくなった時に、僕が社長として戻ったんです。そのときから、旅館の再生に本気で取り組み始めました。

今、皆さんに喜んでいただいているオーシャンビューの景色も、洗練された内装も、社長になってから形にしたものなんです。あの頃の経験と「絶対に立て直す」という覚悟が、今のMANPAの礎になっています

取材担当(高橋)の感想

坂口社長が家業を継ぐ前にサラリーマンとして社会経験を積まれたこと、そして旅館の再生という大きな挑戦をされたことに感銘を受けました。ご自身の経験をオープンにされている「ノート」の記事も、具体的な背景を知る上で非常に参考になると感じました。

取材担当(高橋)の感想

【坂口様が苦労されたこと】

「これが一番きつかった」って聞かれることも多いんですけど、正直、特にないんですよ。困難は日常的にあるもので、それを一個ずつ潰していく。それだけなんです。

僕の中では、問題解決の考え方があって、「3つの箱」に分けて考えてます。1つ目は「時間が解決してくれる箱」2つ目は「自分で頑張って解決する箱」3つ目は「他人に任せる箱」例えば、家族が病気になったとしたら、自分ではどうにもならないし、時間も解決してくれない。だから、医者に任せる、つまり「他人に任せる箱」に入れるわけです。
この3つのうちどれに当てはまるかを冷静に判断することで、必要以上に悩まなくて済むんです。

取材担当(高橋)の感想

坂口社長の「困ったことは一つずつ解決していく」という姿勢、そして「問題解決の3つの箱」という哲学は、困難に直面した際の具体的な思考法として大変学びになりました。どんな大きな壁も冷静に分析し、対処していく坂口社長の強さを感じました。

取材担当(高橋)の感想

【株式会社 MANPA RESORTの現在の事業と組織づくり】

「これが一番うまくいった」みたいな施策も、実はないんですよ。常に少しずつ何か新しいことをやっています。今取り組んでるのは、AIやDXの導入ですね。人手不足の解消や、従業員の定着に繋がると考えていて。

例えば、シフト管理には「シフトメーション」っていうシステムを使っています。ChatGPTも個人的には使うことありますけど、旅館業のような「人と人の接客」が大事な仕事では、組織全体での活用は難しい部分もあると感じています。

人材定着については、密なコミュニケーションが大事だと思っています。僕自身が相談に乗ることもありますし、社内では「チャットワーク」を使って、公私の区別をきちんとつけるようにしています。そのおかげか、萬波は離職率がとても低いんですよ。

採用と定着を、お客様の「集客とリピーターづくり」と同じだと考えてるんです。従業員を喜ばせることで、人が定着する。採用面接は100%僕が行い、入社時には「いい会社だよ」とは言いません。「辞めたくなる日もあるよ」「嫌なこともあるよ」と伝えた上で、それでも頑張ってみたいと思う人と働きたい

初日には「辞めるなら今日辞めてくれ」って伝えます。そして「まずは3年間、会社に来続けてくれ」と。仲間意識が強い、上下関係のないチームが理想です。

取材担当(高橋)の感想

坂口社長は常に新しい技術やシステムを取り入れながらも、業界の特性を理解し、必要なものと不要なものを明確に区別されています。特に、社員の定着率の高さや、社長自らが100%面接を行うという採用へのこだわり、そして入社時に正直に会社の現実を伝え、期待値を上げすぎない姿勢は、就職後のギャップをなくし、長期的なキャリア形成を考える私たち学生にとって非常に参考になると感じました。

取材担当(高橋)の感想

【株式会社 MANPA RESORTの今後の事業ビジョンと夢】

僕が大事にしているのは「永続経営」です。これは単なる目標じゃなくて、すでに進行形で取り組んでいることです。

座右の銘にしてるのが、高杉晋作の辞世の句
面白きこともなきを面白く 住みなすものは心なりけり」。
要は、状況がどうであれ、自分の心の持ちようで面白くなるってことなんです。

だからこそ、「一番きつかったことがない」んです。苦しいときも、それを自分なりに楽しんで、前向きに受け止める。そういう心の在り方が、永続的な経営に繋がると本気で思っています。

取材担当者(高橋)の感想

坂口社長の「永続経営」という明確なビジョンと、その根底にある「面白きこともなきを面白く」という哲学は、私たちZ世代が直面する不確実な未来を生き抜く上で大きなヒントになると感じました。困難を面白く捉える姿勢は、どんな状況でも前向きに進む力を与えてくれると確信しました。

取材担当者(高橋)の感想

【坂口様から学生へのメッセージ】

今の若い世代って、「こうしろ、ああしろ」って言われることが少なくなってると思うんです。逆に言えば、放っておかれてるってことなんですよね。だからこそ、自分で動かなきゃいけません。

僕は「可愛がられる能力」ってすごく大事だと思ってます。食らいついてくる子は、やっぱり可愛がられます。仕事って、周囲との関わりがあってこそ成り立つので、自分から関わりに行く力は大事です。

学生のうちにやっておいた方がいいことは、まず「しっかり遊ぶこと」。社会人になると、新しい遊びってなかなかできないから、今のうちに全力で楽しんで、友達も大切にしてほしい。

それと「お金の勉強」もすごく大事です。税金とか投資の仕組みって、意外と誰も教えてくれないけど、社会に出たら絶対必要な知識なんですよ。「金持ち父さん貧乏父さん」とか、そういう本を読んで、自分から学んでいってほしいですね。

取材担当者(高橋)の感想

坂口社長の「放っておかれるからこそ自分で行動すること」というメッセージは、まさに私たち学生が感じている課題と合致しました。特に、「可愛がられる能力」の重要性や、「お金の勉強」の必要性、そして「金持ち父さん貧乏父さん」という具体的な書籍の提案は、将来を考える上で非常に実践的なアドバイスだと感じました。

取材担当者(高橋)の感想