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熱海温泉の旅館株式会社秀花園:予期せぬ転機から見つけた、旅館業で追求する「人が人へするサービス」

2025年05月28日

株式会社 秀花園

熱海温泉の旅館株式会社秀花園:予期せぬ転機から見つけた、旅館業で追求する「人が人へするサービス」


株式会社秀花園は、静岡県熱海市で「熱海温泉 秀花園 湯の花膳」という旅館を経営しています。熱海の海の幸を活かした料理と、お客様に寄り添う「人が人へするサービス」を強みとし、ホテルとは異なる旅館ならではのおもてなしを大切にしています。祖父母が創業した旅館の歴史を受け継ぎながら、新たな時代の変化にも対応し、お客様と従業員、地域社会の幸せを目指しています。
今回は、代表取締役社長 藤間様からいろんなお話をお伺いしました。

<聞き手=丸山素輝(学生団体GOAT編集部)>



【藤間様の今までの経緯や背景】

私は元々、旅館業を継ぐつもりはありませんでした。私の母方の祖父母が株式会社秀花園を建てたのですが、私の父は熱海で設備業を営んでおり、私は幼少期から大学を卒業したらその設備業を継ぐように言われて育ち、そのつもりでいました。

ところが、旅館を私の叔父が引き継ぐ話が進んでいた矢先に叔父が亡くなってしまい、状況が一変しました。
母は旅館も継ぎたいと望みましたが、父は旅館と設備屋の2社を経営するのは無理だと反対し、意見が対立した結果、両親は離婚してしまいました。この離婚によって、私が父の設備業を継ぐという夢はなくなってしまったのです。

その後、私は音楽と出会い、音楽で食べていきたいと思い東京に出て活動していましたが、最後に組んでいたバンドが解散し、再びしたいことがなくなってしまいました。

そんな時、小さい頃から大変お世話になった祖父母が創った旅館を潰したくないという強い想いが湧き上がり、26歳の時に旅館に戻ってきました。予期せぬ出来事の連続でしたが、最終的に祖父母への感謝と旅館への想いからこの道を選びました。

取材担当者(丸山)の感想

社長がご自身のキャリアを計画されていた中で、ご家族の予期せぬ出来事によって大きく方向転換されたというお話は、大変印象的でした。必ずしも自分の思い描いた通りにはならない人生の中で、状況を受け入れて新たな道を選び取ること、そしてその選択の根底に祖父母様への感謝や旅館への強い想いがあったという点に、心を打たれました。

自分自身も、将来について様々な選択肢や計画を立てていますが、柔軟な姿勢や、自分が本当に大切にしたいものを改めて考えるきっかけをいただきました。

取材担当者(丸山)の感想


【株式会社秀花園の事業や業界について】

当館は、料理と接客を一番の強みとしています。熱海という土地柄、海のイメージが強いと思いますが、地元の海の幸を活かした料理をお客様にご提供しています。そして、料理と並んで私たちが誇りにしているのが「接客」です。私たちはホテルではなく「旅館」であるということにプライドを持って接客にあたっています

ホテルと旅館の大きな違いは何かというと、旅館の強みは「一歩お客様に歩み寄れるところ」にあると考えています。一方、ホテルは良くも悪くもフォーマルで、少し堅苦しいイメージがあるかもしれません。もちろん、それはそれで素晴らしいサービスなのですが。

旅館業においては、お客様との距離感がより近いと考えています。お客様が何を求めているのかを実際に肌で感じ取り、それに対して私たちにできることを精一杯行う。これこそが、私たち秀花園が考える「人が人へするサービス」なのです。単に決められたサービスを提供するだけでなく、お客様一人ひとりに合わせた柔軟な対応や、温かいおもてなしを心がけています。

取材担当者(丸山)の感想

旅館業における「人が人へするサービス」という言葉が心に残りました。ホテルとの比較を通じて、旅館ならではのお客様との距離の近さや、お客様のニーズを肌で感じて寄り添うことの大切さがよく分かりました。

単なるサービス提供に留まらない、温かみのあるおもてなしこそが、秀花園様の強みであり、お客様に選ばれる理由なのだと感じました。地域ならではの料理へのこだわりも魅力的ですね。

取材担当者(丸山)の感想


【藤間様から学生へのメッセージ】

就職活動をするにあたって、資格の取得や勉強などももちろん大事なことだと思いますが、私はそれよりも「中身」の方が大切だと考えています。もちろん、資格を持っていること自体は素晴らしいことですが、それが全てではありません。

私が特に伝えたいのは、「まず行動すること」の重要性です。色々と考えすぎて立ち止まるのではなく、とりあえず行動を起こしてみることですね。私たちは毎年新卒採用を行っており、若い方や学生の皆さんと話す機会がありますが、今の若い子を見ていると、昔と比べて考えてばかりで行動しない子が多いように感じます。

これは時代の変化も影響しているのかもしれません。昭和の世代は、今よりも物事に関する情報量が少なかったので、まず動くのが普通でした。極端に言うと、頭でっかちではなく、体が先に動くようなイメージです。

しかし今はインターネットなどを通じて様々な情報が容易に入ってきます。そうなると、知識だけがものすごく増えて頭が大きくなり、その知識に圧倒されて行動ができなくなり、体がひょろひょろになってしまう。そして頭が重くて倒れてしまうと、動かなくなってしまうという傾向があるように思います。

だからこそ、現代の学生の皆さんには、考える前にまず行動することを意識してほしいのです。行動することで初めて見えてくるもの、感じられるものがたくさんあります。失敗を恐れずに、まずは一歩踏み出してみてください。

取材担当者(丸山)の感想

「まず行動すること」というメッセージは、自分を含めた同世代に強く響く言葉だと感じました。確かに、情報過多の現代では、選択肢が多すぎて悩んでしまったり、失敗を恐れて最初の一歩が踏み出せなかったりすることがあると思います。

社長が仰るように、頭で考えるだけでなく、実際に体を動かすことの重要性を改めて認識しました。就職活動においても、情報収集だけでなく、積極的に企業にアクセスしたり、OB・OG訪問をしたりと、行動に移すことの大切さを学びました。

取材担当者(丸山)の感想


【株式会社秀花園の今後の展望】

現在、既に着手している大きな取り組みとして、新築の社員寮の建設があります。この寮には、新卒2年目の社員と新卒4年目の社員に入ってもらい、寮の外壁の色決めから内装に至るまで、計画段階から彼らにも関わってもらっています。

これは、単に住居を提供するだけでなく、若手社員が主体的に関わることで、より良い住環境を作り出すと共に、会社への愛着や、共に作り上げる経験を通じた成長に繋がることを期待しています。この新築寮は、約1年後の9月に完成する予定です。

また、弊社は現在2つの旅館を経営していますが、将来的には3店舗目も始めたいと考えています。新たな場所で秀花園のサービスを展開することで、より多くのお客様に私たちの「人が人へするサービス」を体験していただきたいと考えています。

これらの取り組みは、単に事業を拡大するというだけでなく、働く仲間たちが安心して長く働き続けられる環境を整備し、新たな挑戦を通じて会社として、そして個人として成長し続けたいという思いが込められています。秀花園は、これからもお客様、そして従業員と共に成長していくことを目指していきます。

取材担当者(丸山)の感想

新築寮の建設プロジェクトに若手社員の方が積極的に関わっているというお話は、とてもワクワクしました。単なる福利厚生ではなく、社員が主体的に関わることで、会社へのエンゲージメントを高めたり、貴重な経験を積む機会になったりするというのは、学生にとって魅力的なポイントだと思います。

また、3店舗目の展開という目標からも、会社の成長意欲と、より多くの人々に秀花園様の魅力を伝えたいという熱意が伝わってきました。今後の秀花園様の展開がとても楽しみです。

取材担当者(丸山)の感想