関ヶ原グルメガーデンは、岐阜県不破郡関ヶ原町に本社を置く観光事業を展開する企業です。歴史ある関ヶ原の地で、「美味しい・楽しい・面白い」をテーマに、レストラン施設と歴史体験施設を運営しています。近江牛やご当地スイーツを提供する「Sekigahara花伊吹」と「鉄板ダイニング天満」、そして日本唯一の体験型資料館である「関ヶ原ウォーランド」を展開し、お客様に特別なひとときと、ここでしか得られない思い出を提供しています。私たちは、旅の途中で味わう贅沢なひと時が、お客様の心に深く刻まれるよう努めています。今回は、関ヶ原という歴史の舞台で「食」と「体験」を通じた魅力発信を続ける同社の取り組みと、今後描くビジョンについて、取締役兼営業部長の谷口太泉様にじっくりとお話をお伺いしました。
<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>
【谷口様の今までの経緯・背景】

当社の事業は、私のひいおじいさんの代から始まりました。創業して63年、来年には64年を迎えます。元々は小さな旅館からスタートしましたが、事業を始めた原点には、ひいおじいさんの深い思いがありました。ひいおじいさんからは、「関ヶ原という地で商売をするならば、地域のために戦没者の供養をしなさい」という遺言がありました。多くの戦没者がいらっしゃる中で、地域が供養をしていなかったため、「歴史を作った大きな戦いがあったのに、供養がされていないのは、この地に住んで商売をするには良くない」という考えから、商売とお寺を一緒に営むことになったのです。
私たちは、時代の流れに合わせて事業形態を変化させてきました。しかし、創業以来、関ヶ原の戦いの記憶を決して忘れないという思いは変わっていません。現在も「関ヶ原ウォーランド」を継続運営しているのは、そのためです。この土地の歴史と、それに関わる人々の思いを大切にしながら、事業を展開し続けています。
私自身も一族経営の一員として、将来は事業を引き継ぐ立場にあります。会社の歴史と地域を守り、さらに発展させていくことに使命を感じています。これまでの多くの経験が、今の私を形成していると信じていますし、その経験を活かして会社を次世代へとつないでいきたいと考えています。
取材担当(石嵜)の感想
ひいおじい様の遺言が会社の原点という歴史の深さに感動しました。単なる事業だけでなく、地域への深い想いと戦没者への供養が根底にあるのは現代の企業では珍しいと感じました。その精神が今も受け継がれていることに感銘を受け、私自身のキャリアを考える上で、単なる利益追求ではない企業価値を見出すことの重要性を学びました。

【株式会社レスト関ヶ原の事業・業界について】

現在の当社の事業は、観光を核としています。関ヶ原グルメガーデンとして、「Sekigahara花伊吹」、「鉄板ダイニング天満」、そして「関ヶ原ウォーランド」の3施設を展開し、「美味しい・楽しい・面白い」体験を提供しています。お客様の約95%は日本人で、海外からのお客様は少ないのが現状です。
私たちは、お客様に非日常の体験を提供し、それが旅の忘れられない思い出となるよう努めています。料理の見た目や演出にもこだわり、特別な瞬間を創造することで、お客様に心から喜んでいただくことを目指しています。例えば、「Sekigahara花伊吹」では近江牛料理やご当地スイーツを提供し、「関ヶ原ウォーランド」では和傘や風鈴のイベントなど美しい風景を楽しめる工夫を凝らしています。
この仕事の最大の喜びは、お客様の目の前で料理を提供し、「美味しい」という生の言葉を直接いただける瞬間です。お客様のダイレクトな反応を間近で見られることは、私たちの何よりのやりがいになっています。私自身も、お客様に最高の体験を提供するため、SNSで思い出に残るようなコンテンツの撮影や編集を個人的に担当しています。
取材担当(石嵜)の感想
関ヶ原の歴史と食文化を融合させた観光事業に魅力を感じました。「非日常」の体験を重視し、お客様の心に残る思い出づくりを大切にしているというお話は、サービス業の究極の形だと感じました。お客様の「美味しい」の一言が一番のやりがいという言葉に、働くことの喜びが凝縮されているようでした。谷口様ご自身がSNSコンテンツ制作を担当されている点にも驚き、プロ意識の高さを感じました。

【谷口様から学生へのメッセージ】

学生の皆さんには、ぜひ普段の生活圏を離れて、さまざまな場所へ旅をし、多くのものを見てほしいと願っています。多様な価値観や知見に触れることで視野が広がり、考え方に囚われにくくなります。そうすることで、社会に出てから直面する人間関係や仕事のストレスに対しても、柔軟に対応できる力が養われるでしょう。
自分のストレスをうまく乗り越えるためにも、学生のうちに趣味を見つけたり、好きなことに打ち込む時間を大切にしてください。スポーツや囲碁、将棋など、勝負の世界に身を置く経験も非常に貴重です。私自身も高校からアーチェリーをずっとやっていましたが、そこで得られる経験は、自分の心を鍛え、自己をコントロールする術を学ぶことにつながると感じています。
社会人になると、経済的には豊かになっても、自由に使える時間は限られてきます。だからこそ、時間を気にせず打ち込める学生時代は非常に貴重なのです。困難に直面しても、それを乗り越え、自分の感情をコントロールできる人は、仕事も人生も楽しく歩んでいけるはずです。何に打ち込むかは問いません。好きなことを見つけて、学生時代を謳歌してほしいと思います。
取材担当(石嵜)の感想
「色々なものを見て、価値観や知見を広げてほしい」という谷口様の言葉は、学生の私にとって大きな気づきとなりました。趣味の重要性や、ストレスとの向き合い方、そして「自分をコントロールする」というお話は、就職活動や将来の働き方を考える上で非常に響きました。社会人になると時間がなくなるというリアルなアドバイスも、今から時間を有効に使うことの意識に繋がりました。アーチェリーの経験談も、勝負の世界を通じて培われた精神性を感じさせ、印象的でした。

【株式会社レスト関ヶ原の今後の展望】

私たちの会社は、「100年企業」を目指しています。これは単に長く存続するだけでなく、次の世代、さらにその次の世代へと当社の思いと文化をバトンとしてつないでいくことを意味します。会社は一つの「家」のようなものであり、そこで働く人々が家族のように互いを思いやり、その「家」の思いやルールを次世代に伝えていくことが、100年企業へとつながると考えています。100年続く企業は、地域に働く場所を提供し続け、社会にとっても誇りとなる存在だと信じています。
取材担当者(石嵜)の感想
「100年企業」という目標設定と、長期的な視点での地域社会への貢献意識に感銘を受けました。この視点や目標設定は学生が将来就職する企業を選ぶ上で非常に重要なポイントだと感じました。
