Skip to content
沖縄文化を世界へ。株式会社JCCが描く、未来への挑戦と価値創造の軌跡

2025年07月14日

株式会社ジェイシーシー

沖縄文化を世界へ。株式会社JCCが描く、未来への挑戦と価値創造の軌跡

株式会社JCC様は、沖縄に根ざした企業として、「沖縄文化を広く深く正しく全世界に発信へ。」という企業理念を掲げ、多角的な事業を通じて沖縄の魅力を伝え、未来へ向け進化を続けるパイオニア企業です。リゾート・ホテル事業、外食事業、食品製造販売事業、海外貿易事業、FC事業、コンテンツ事業の6つの柱を中心に事業を展開し、沖縄の健康づくり・町づくり・村づくりに貢献することで、より盤石な沖縄文化を醸成することを目指しています。今回は、沖縄の文化や地域資源を軸に多角的な挑戦を続ける背景、そして世界へ向けた展望について、代表取締役社長・池原様にじっくりとお話をお伺いしました。

<聞き手=高橋宏輔(学生団体GOAT編集部)>


【渕辺様の今までの経緯・背景】

JCCの創業は、私の父が45歳の時に立ち上げたことに始まります。私自身は、20代の学生の頃に上京し、その後、沖縄に帰郷してからJCCのグループ会社を新たに設立するという経験を積みました。その新会社では飲料の製造販売や飛び込み営業もこなすなど、若くして現場で「社会の厳しさ」を肌で感じた経験は、今振り返ると非常に良いものだったと感じています

沖縄への帰郷は、父が体調を崩し、入院することになったのがきっかけでした。当時、約700名ものパート・アルバイトを抱える会社に入るにあたり、いきなり重役に就くのではなく、まずは会社をゼロから立ち上げるところからスタートしましたが、これは、会社を作る訓練をさせてもらったのだと同時に、新規事業立ち上げのプロセスを学ばせるためのものだったんだと今では考えています。

このグループ会社での日々は、「毎日がトライアンドエラー」の連続でした。試行錯誤を繰り返しながら、まさに事業立ち上げの苦労と醍醐味を経験しました。この経験が、現在のJCCの多角的な事業展開につながる基盤を築いたと考えています。

取材担当(高橋)の感想

沖縄という土地への強い愛着を感じていた私にとって、株式会社JCC様が沖縄の文化を世界に発信するパイオニア企業であるという事実は、この取材への期待を大きく膨らませるものでした。

社長ご自身のバックグラウンドが、創業者の想いを引き継ぎつつ、自らも新たな事業をゼロから立ち上げるという挑戦に満ちていたことに、深い感銘を受けました。まさに「挑戦する大人」の姿であり、私たちZ世代が自身のキャリアを考える上で、非常に学びの多いエピソードだと感じました。

取材担当(高橋)の感想

【失敗から学ぶマーケティングの真髄】

グループ会社での事業立ち上げにおいて、最も大きな学びの一つは「マーケティングがいかに大事か」ということでした。象徴的なエピソードとして、国際通りでの自動販売機事業の失敗があります。東京の大都市では1日1000本売れるという話を聞いていましたから、私は期待に胸を膨らませてオリジナルベンダーを設置しました。しかし、初日の売上はわずか11本でした。

この経験から得た教訓は、人通りの多さが必ずしも消費行動に直結するわけではない、ということです。皆さんが知るナショナルブランドの自動販売機であれば売れたかもしれない。しかし、ブランドのないものを置いても、ただ通り過ぎてしまう。交通量が多くても、人々が何を求めているのか、どうすれば手が伸びるのかを深く理解するマーケティングの視点が決定的に欠けていました。

JCCでは、失敗は数えきれないほどありますが、私たちは即撤退の決断をするので、あまり引きずらずに次へ進むという哲学があります。この自動販売機の失敗は、マーケティングの重要性を痛感させると共に、事業における迅速な意思決定と方向転換の必要性を学ぶ貴重な経験となりました。

取材担当(高橋)の感想

「失敗から学ぶ」という言葉はよく聞きますが、これほど具体的なエピソードを聞くと、その重みがまるで違います。国際通りという一等地で、期待と現実の大きなギャップに直面した経験は、ビジネスの厳しさを物語っています。

しかし、その失敗をすぐに教訓に変え、次の行動へと繋げるスピード感と柔軟性は、私たち学生が今後社会に出ていく上で、非常に参考になる姿勢だと感じました。

取材担当(高橋)の感想

【「焼き鳥の串」が繋ぐ理念】

社長就任後、JCCではホテル事業、グローバル事業、食品製造販売事業など、新たな事業を次々と立ち上げてきました。一見すると多岐にわたる分野ですが、私は社内のメンバーに「焼き鳥」をイメージするように伝えています。様々な具材(事業)が刺さっていても、中心を通る「串」が間違っていなければ良い、と考えています。その「串」こそが、JCCが掲げる「沖縄の文化を広く深く正しく全世界に発信へ。」という企業理念だと考えています

沖縄は県外企業の製造業が全体で20%以上を占めるのに対し、島全体では製造業がわずか5%以下と少ないのです。限られた土地の島国であり、台風も来ますし、年中暑いですから、一次産業も少なく、90%近くがサービス産業の島なのです。そのため、私たちはこれまでいろんな事業をやってきましたが、ホテルや外食といったサービス産業だけでなく、沖縄の一次産品や食品加工品にも力を入れていかなければならないと考えています。

例えば、これまで一週間ぐらいしか日持ちしないジーマーミー豆腐を、レトルト化して全国のスーパーに展開していこうと考えています。あぐー餃子やあぐーパイタンそばなどのお土産品も開発・販売しています。さらに、グローバル事業部では、沖縄の食品を海外に輸出するのがメインですが、それだけでなく海外の食品を輸入して日本に紹介する「輸出入」をメインに行っています。これは、琉球王国が鎖国中の日本に代わって中継貿易を行っていた歴史に着想を得たものです。沖縄は「外からの力も取り入れて混ぜて発信する」という文化があるのです。それを現代に再現する試みだと考えています。

また、自分たちの力だけでは歩みが遅いので、「巨人の肩に乗る」という言葉があるように、大手の企業(セブン-イレブンやはなまるうどんなど)の力を借りて、私たちの商品を広げています。例えば、沖縄のセブン-イレブンでは、私たちがグループ会社で作っているハブチョットという商品が半分くらいの店舗に入っています。

沖縄のはなまるうどんの店舗には、通常のメニューに加えて、私たちが開発した10品目以上のオリジナル商品が入っています。一見するとフランチャイズ事業は会社の理念と異なるように見えますが、狙いはまさにこの「巨人の肩に乗る」という戦略にあります。大手の流通に乗せることで、商品の露出と展開を飛躍的に高めることができると考えています。

取材担当(高橋)の感想

株式会社JCC様の多様な事業が、すべて「沖縄文化を世界に発信する」という一本の太い「串」で繋がっているという説明は、私にとって非常に腑に落ちるものでした。沖縄が単なる観光地ではない、深い歴史と文化を持っていることに改めて気づかされ、それを多角的な事業で表現し、世界に届けようとする熱意に感動しました。

あぐー豚やジーマーミー豆腐といった沖縄の特産品を、ホテルや食品事業を通じて消費者に届ける取り組みは、まさに沖縄の魅力を「体験価値」として提供していると感じます。また、大手企業との提携で沖縄の魅力を全国に広げる戦略は、その先見性と実行力に感銘を受けました。

取材担当(高橋)の感想

【未来へ繋ぐ沖縄の価値創造】

沖縄が抱える課題の一つは、県外や海外へ「出ていかなければ」マーケットを広げられないという「意識の壁」だと感じています。しかし、私たちは幸い外食事業の方からスタートした会社ですが、今現在でも東京スカイツリーの中にもお店がありますし、川崎のラゾーナにも、博多駅にもあります。そういう意味では、外に出ていく免疫はだいぶありますので、今後もチャンスがあれば、国内外での挑戦を続けていきたいと考えています。

沖縄は人口や観光客数がハワイと似ている、と私は指摘しています。しかし、経済の中心に地元の人がなかなか入り込めていない現状に危機感を抱いています。そのため、私たちは沖縄を代表する魅力的なホテルを、これからも作り続けていきたいと考えています。実際に今後2~3年での新たなホテル建設計画も進行中なのです。

目指すのは、「ザ・沖縄、ザ・琉球」を感じられるホテルです。今、全国的にそうだと思いますが、目隠しをされて連れてこられて目隠しを取られたら、どこの県か分からなかったりするでしょう?そうではなく、もう目隠しを取った瞬間に「これは沖縄だろう」と分かるような、独自のアイデンティティを持つ施設や街づくり、村づくりに貢献したいという強い思いがあります。

将来的には、モン・サン=ミシェル(フランス)のように、世界中の人が知っているけれど、それがどこの地域にあるか調べないと分からない。同じように日本のどこにあるのかを調べたら「沖縄」だった、というようなシンボル的な施設を創り出すことが夢です。

取材担当者(高橋)の感想

沖縄が持つ独自の文化の強さを信じ、それを単なる観光資源としてだけでなく、真に地域経済の中心に据えようとする株式会社JCC様のビジョンは、非常にスケールが大きく、感銘を受けました。

特に、「モン・サン=ミシェル」のような世界的なシンボルを沖縄に創り出すという夢は、文化とビジネスを融合させ、地域を活性化させる具体的な目標として、私たちZ世代が会社選びをする上で、大いに心を揺さぶられるものでした。

取材担当者(高橋)の感想

【渕辺様から学生へのメッセージ】

最後に、私から学生団体GOAT、そしてZ世代の学生の皆さんへ向けた力強いアドバイスをさせていただきます。もし私が今学生の立場だったら、「会いたい、話を聞いてみたい経営者にガンガンアポイントを取って、ガンガン話を聞きに行く」と思います。

社会に出て働いてからでは、時間を作るのが難しく、同業だったりするとノウハウなんかまず絶対教えてくれません。経営者と本音で話す機会は限られているのです。しかし、学生の皆さんには警戒されないので、企業経営者も喜んで何でも教えてくれる可能性が高いと思います。

この「直接、経営者と話せる時間」こそが、学生である皆さんが今持っている最高の「プレミアム」なのです。経験値の少ないZ世代だからこそ、社会の先輩である経営者から直接学び、経験を培うことが、将来の活躍に繋がる最も重要な一歩だと私は考えています

取材担当者(高橋)の感想

今回のメッセージを拝見し、「学生という立場の価値」に改めて気づかされました。社会人になると時間も立場も制限が増え、経営者の本音を聞くチャンスが限られてくる。だからこそ、今この瞬間に、自分の好奇心や勇気を原動力にして、一歩踏み出すことが本当に大切なのだと感じました。


「警戒されない立場だからこそ、本音を引き出せる」——この言葉にハッとさせられました。自分にとっては普通の学生生活でも、経営者の方々にとっては「何でも話せる貴重な存在」かもしれない。だからこそ、この特権を活かして、多くの経営者に会いに行き、自分の視野を広げていきたいと思います。


Z世代の私たちは、まだまだ経験も知識も少ないですが、それを補って余りある「柔軟性」と「行動力」を持っていると思います。このメッセージを受けて、私も「ガンガン会いに行く」学生でありたいと強く思いました。

取材担当者(高橋)の感想