タピック沖縄株式会社様は、統合医療の視点に立ち、人々の生活習慣や行動を変革するサポーターとして活動しています。身体、心、そしてスピリチュアリティの3つの側面から、人々が最良の状態に到達するお手伝いを目指しています。タピックグループは、医療・福祉を核に、スポーツ、文化、観光、教育といった多岐にわたる事業を展開しており、その根底には「健康と生きがいのある元気な街づくりに貢献する」という共通の理念があります。グループ代表様が医師であることから医療が事業の出発点であり、多くの施設は、かつて運営が厳しかった場所を事業継承によって再生させてきた歴史を持っています。例えば、当ホテルも元々は厚生年金の保養所でした。単なる観光だけでなく、「ウェルネス」というキーワードを通じて、ご利用いただく全ての方に心身ともに元気になっていただくことをコンセプトに掲げています。今回は、医療を出発点に、観光や教育など多岐にわたる事業を展開しながら、「健康と生きがい」のある地域社会の実現を目指すタピック沖縄株式会社様の取り組みと、その背景にある想いについて、じっくりとお話をお伺いしました。
【高橋様のキャリアパス:縁と使命で歩んだ道のり】

私は元々大阪出身で、18年前に沖縄の魅力に惹かれて移住してきました。それまでは飲食業界で働いていましたが、沖縄で働きたいという強い思いとご縁があり、リゾートホテルのレストランマネージャーとして採用されました。
この会社を選んだ一番の理由は、沖縄への貢献という私の思いと、会社の地域密着を掲げる経営理念、そして代表の考え方に共感したからです。当時はホテルの増築が決まっており、レストランの規模が拡大する中で、マネージャーとして採用していただきました。
入社後2年間はレストランマネージャーとして、新館の立ち上げまで私が担当しました。その後、人事の機能が戦略的に不足しているという課題があり、人事の責任者を務めることになりました。それから8年間、人財開発や採用、従業員の教育に携わっています。
県内のホテル専門学校で教鞭をとったり、地域の小中学校でマナー講師を務めたりもしています。私にとって人事の仕事は「楽しい」と感じています。従業員が私のお客様であり、彼らの対応をしていくことが私の仕事です。人に関わり、彼らの成長をサポートし、職場環境を整えていくことに大きなやりがいを感じています。
取材担当(高橋)の感想
ホテル業界の現場から人事というキャリアパスは非常に興味深いと感じました。ご自身の「沖縄で働きたい」という強い思いと会社の理念が合致したことが、現在の充実したキャリアに繋がっていることがよく分かります。人に寄り添い、その成長をサポートすることに喜びを感じるというのは、学生が仕事選びをする上で大切な視点だと学びました。

【「健康と生きがい」を追求する事業展開】

私たちのグループ全体を貫くコンセプトは「健康と生きがいのある元気な街づくりに貢献する」ことです。代表が医師であるため医療事業がメインであり、病院では回復期医療を提供しており、リハビリテーションや認知症、発達障害、アルコール依存症などの治療を通じて、患者様が社会復帰できるよう支援しています。
ホテルの事業も同様に、温泉やスポーツでリフレッシュしていただき、期待以上の元気を持って帰っていただけるような「ウェルネス」を提供しています。一般的なホテルが打ち出す「映え」や「楽しさ」だけでなく、心の癒しを提供できる点が私たちの強みです。
東南植物楽園やネオパークといった動植物園もグループ事業の一部ですが、これらもかつては経営が厳しくなった施設を事業継承し、再生させてきたものです。代表は「良いことをすればうまくいく」と信じ、常に社会が求める道を進むことで、事業を拡大してきました。その結果、今ではグループ全体で2000人を超えるスタッフがいます。
ホテルにご宿泊のお客様の3割が沖縄県内在住の方にご利用いただいており、これは「気取らない温かみのあるサービス」を目指しているからだと考えています。今後はSDGsへの取り組みや環境学習なども強化し、学習旅行先としても選ばれる存在になりたいと目標を掲げています。健康と癒し、そして社会貢献に力を入れています。
取材担当(高橋)の感想
医療を原点とする企業様が、観光や教育、文化、スポーツといった多岐にわたる事業を通じて「健康と生きがい」という一貫したコンセプトを追求していることに感銘を受けました。特に、ただ利益を追求するだけでなく、地域社会の課題解決や、人々の心身の健康に貢献するという姿勢が、現代社会において非常に魅力的だと感じます。

【コロナ禍を乗り越えた「人を大切にする」信念】

最大の危機はコロナ禍でした。医療も観光も甚大なダメージを受けました。多くの企業がリストラを断行する中、私たちの代表からは「一人も辞めさせるな」という指示が出ました。疫病は必ず回復する時期が来るからこそ、人財こそが宝だと考えていたからです。
ホテルを3ヶ月間閉鎖した時期もありましたが、従業員は全員、休業中も9割、最終的には10割の給料を支給し続けました。雇用調整助成金も活用しましたが、他の企業が休業中の給与をカットする中でも、私たちは全額支給を貫いたのです。
この「人を大切にする」という信念のおかげで、コロナ禍明けの現在、沖縄県内で深刻な人手不足が叫ばれる中、私たちは十分な人財を確保できています。客室清掃などの応募すら断っているほどです。これは、従業員を大切にしたからこそ、皆が会社に残り、今も力を発揮してくれているのだと実感しています。
また、私が人事になってから、障害者雇用も飛躍的に進みました。以前は法定雇用率を満たしていなかった時期もありましたが、特別支援学校への積極的な訪問や職場体験の受け入れなどを通じて、現在では12名の障害を持つ方々に働いていただいています。
彼らは客室清掃、食器の片付け、調理補助、受付、巡回など、多岐にわたる業務で活躍しています。これらの取り組みが評価され、今年度、リゾートホテルとしては日本で初めて、厚生労働省による障害者雇用の優良事業所認定「もにす認定」を取得しました。これは県内でも4例目という快挙です。
取材担当(高橋)の感想
コロナ禍での「一人も辞めさせない」という経営判断と、それを実現した給与支給の継続は、まさに企業様が従業員を「宝」と見なす本気の姿勢だと強く感じました。この英断が、コロナ後の人材確保に繋がったという事実は、学生にとって企業選びの重要な基準になるでしょう。
また、障害者雇用を積極的に推進し、日本初の「もにす認定」を取得した実績は、企業の社会貢献性だけでなく、多様性を尊重する先進的な職場環境を物語っていると思います。

【働きがいを育む環境と未来への展望】

従業員が長く働いてくれる理由の一つに、充実した福利厚生があります。従業員とその家族(配偶者、子供、双方の両親)は、ホテルの温泉、スポーツ施設、プール、キャンプ施設などを全て無料で利用できます。東南植物楽園やネオパークも同様に無料で利用できます。これは、「従業員こそが笑顔と健康でなければ、お客様を笑顔にできない」という代表の強い思いから来ています。食事も半額補助が出るなど、他社にはない手厚さだと自負しています。
私たちのホテルで働くスタッフには、60歳以上が約80名もおり、非常に活躍してくれています。障害を持つ方々や外国人スタッフも積極的に雇用しており、多様な人財が活躍できる場を提供しています。
会社の将来的な夢としては、教育分野へのさらなる注力があります。幼稚園を運営しているのも、未来の人財育成のためです。医学博士が創業した経緯もあり、学術的な学びの場を強化し、人財育成に力を入れていきたいと考えています。グ
グループ内での学術大会も4年に一度開催するなど、常に人の育成を重視しています。若い世代、特にZ世代の学生には、やりたいという強い思いがあれば積極的にチャンスを与え、成長をサポートする環境があります。入社3年目でマネージャー職に就いている20代の社員もいるほどです。
取材担当者(高橋)の感想
従業員と家族への手厚い福利厚生は、本当に驚きです。これが「従業員が笑顔と健康でいることがお客様の笑顔に繋がる」という理念に基づいていると聞き、その説得力に納得しました。
シニア層や障害を持つ方々が活躍されていることからも、多様な人材がそれぞれの持ち場で輝ける、包容力のある職場環境だと感じました。学びと成長を重視し、若手にも積極的にチャンスを与えるという姿勢は、自身のキャリアを主体的に形成したい学生にとって大きな魅力だと思います。

【未来を担う学生の皆さんへ】

私自身、実はきちんと就職活動をした経験がありません。大学を中退し、そこから実践を積み重ねて現在に至りますので、いわゆるマニュアル通りの人生ではありません。しかし、おかげさまでやりがいのある仕事、本当に楽しいと思える仕事に巡り合え、現在の仕事は私にとって天職だと感じています。
学生の皆さんだけでなく、中学校や小学校でキャリア教育の講演をする際にも必ず話していることですが、働くことはお金を稼ぐことです。お金は多ければ多いほど良いですし、そのために働く必要があるのも事実だと思います。しかし、私自身は、お金のために働いてほしくないという思いを常に持っています。
仕事の結果としてお金を受け取り、役割が大きくなり、できることが増え、関わる人が増えるほど、収入も増えていくものだと私は考えています。学生の皆さんには、まず自分の興味のあることや、やってみたいと思うことを基準に就職先を選んでほしいと願っています。安定も確かに重要な要素であり、それぞれの考え方があります。しかし、安定を求めるあまり、やりたくない仕事を選んでほしくありません。
「これは良いな」「この代表となら一緒に働きたい」と感じるような、人に魅力を感じる場所を選んでください。私はどこまで行っても「人」が重要だと考えています。「ここでなら人生をかけて何かをやってみたい」と思える、まずは好きなことや興味のあることにチャレンジすることが大切です。企業名で選ぶのではなく、自分が「やりたいこと」で選んでください。
もちろん、入社していきなり希望通りの仕事ができるわけではありません。最初は雑用も多いでしょうし、自分が本当にやりたいことからすぐに始められるわけではないと思います。しかし、与えられた目の前の仕事を一つ一つ全力でこなしていくことで、自分の役割は次第に増えていきます。役割は与えられるものであり、私自身も人事になるつもりは全くありませんでしたが、周りの人は見ていて「あなたにはこの仕事が合っているはずだ」と機会を与えてくれました。目の前に与えられたこと、目の前の人を喜ばせることに全力を尽くせば、必ず皆さんのキャリアは明るく開けていくはずです。
それが何だったのかは後からしか分かりません。まずは目の前のこと、興味のあることで良いので取り組んでください。頼まれごとは試されていることだと捉え、何事も全力で目の前の人を喜ばせ、自分が役に立つことを一生懸命行ってください。
仕事ですから、自分のやりたいことだけができるわけではありませんし、興味のないことをすることもあるでしょう。しかし、少なくとも業界、業種、あるいは職種として、自分が「好きだ」と思えるようなことを選ぶことが大切です。自分の会社を好きになれなければ、仕事は辛いだけになってしまいます。会社を好きになることは非常に大切ですので、そう思える場所に飛び込み、最初は大変でも全力でやり抜くことが重要です。
取材担当者(高橋)の感想
従業員と家族への手厚い福利厚生は、本当に驚きです。これが「従業員が笑顔と健康でいることがお客様の笑顔に繋がる」という理念に基づいていると聞き、その説得力に納得しました。
シニア層や障害を持つ方々が活躍されていることからも、多様な人材がそれぞれの持ち場で輝ける、包容力のある職場環境だと感じました。学びと成長を重視し、若手にも積極的にチャンスを与えるという姿勢は、自身のキャリアを主体的に形成したい学生にとって大きな魅力だと思います。
