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未来を自らの手で切り拓くために

2025年05月30日

ライク株式会社

未来を自らの手で切り拓くために

ライク株式会社は、「人」をテーマに、総合人材サービス事業、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業を展開する企業グループです。人材派遣・人材紹介、アウトソーシングを通じて企業と働く人々を結びつけ、公的保育や法人向け保育サービスを通じて子どもたちの成長を支援し、「サンライズ・ヴィラ」「フェリエ ドゥ」といった介護付有料老人ホーム等の運営を通じて高齢者の暮らしを支えています。多岐にわたる事業を展開しながら、社会に貢献することを目指しています。今回は、「人」に寄り添う多様なサービスを展開するライク株式会社の代表取締役社長・岡本様にお話をお伺いしました。

<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>


【岡本様の経緯・背景】

学生時代から自分で起業して会社を経営したいと考えていました。サラリーマンとして働く以上、会社の命令に従うか辞めるかしか選択肢がなく、上司も自分で選べません。その時々の上司に我慢しながら働き続けるのは、自分の性格には合わないと感じたことが、起業を志した大きな理由の一つです。

就職や入社後にイメージと違う、といったミスマッチによる早期退職の話を聞く中で、多くのイメージのギャップは学生や若手社員が自分の中で思い込みで作り上げたものではないかと思っています。会社側からすれば「それは君たちが勝手に抱いた イメージだろう」と思われても仕方がないですよね。

また、日本の会社は就職しても配属や異動は全て会社が決めるという点に疑問を感じていました。例えば、商社で海外での活躍を夢見ても、実際には経理部に配属されて毎日電卓をたたく人もいるという現実を見たときいて、自分で人生を選べない働き方をしたくないと思いました。

起業にあたっては、周りから見ればリスクテイクして思い切ったことをしていると思われたかもしれませんが、自分の中には「うまくいく」「成功する」という根拠のない確信があり、不安に思う気持ちは全くありませんでした。

学生の頃から自分には自信があり、「普通の人とは違う」と思っていました。もしこうなったらどうしよう、といった失敗するイメージが膨らむことは性格的に全くなく、何があっても自力で絶対解決できると思っていましたし、実際に解決してきました。

取材担当者(石嵜)の感想

岡本会 長のお話からは、ご自身の内なる声に真摯に向き合い、流されるのではなく自ら人生を選択するという強い意志を感じました。特に、サラリーマンという働き方における配属や上司を選べないことへの疑問が、起業という決断につながったという点は、今の就活生にも共感できる部分があるのではないでしょうか。

根拠のない自信と、何かあっても自力で解決できるという経験が、リスクを恐れずチャレンジする原動力となっているというお話は、自身の可能性を信じることの重要性を教えていただきました。

取材担当者(石嵜)の感想

【ライク株式会社の事業・業界】

日本全体で人手不足や少子高齢化が進んでいますが、ライクグループは「スーパー労働集約型企業」を目指しています。これは、圧倒的に「人」、特に現場で働く人が重要であるという意味です。人口が減り、特に働く若者が減っていく中で、人材の確保はますます熾烈になることが予想されます。しかし、全ての企業で人が不足するわけではなく、業種業態によって状況は異なります。

ChatGPTのようなAIは急速に進化しており、会計士や税理士のような資料作成やデータ入力などの作業は、AIの方が精度が高くなる可能性があります。当社でも管理部門の入力作業などはAIによるデータ吸い上げが進めば、人手がほとんど不要になるかもしれません。これは間違いなく世界的な傾向であり、DXが進むほどこのような分野では人材の余剰が発生してくるでしょう。

一方、当社が展開する保育や介護施設のように、人と人が直接関わる部分では、ロボットの導入には限界があります。介護施設で最先端ロボットを試した際、認知症の方がロボットを突き倒してしまうということもありました。自動車の溶接や荷物の仕分けのような単純作業を行うロボットは既に活躍していますが、人間の知能が備わり、それが動きに連動できるようなものはまだ実現していません。

このような状況を踏まえ、今の若い人たちは自分の専門性をしっかり身につけ、独立しても企業の中でも勝負できる自分自身のコンテンツを持つべきです。人手不足だからといって安心せず、AIに取って代わられる可能性があることを認識しなければなりません。

当社の強みとして、スーパー労働集約型であるということは、質の高い人材はもちろんですが、「量」を揃えていることも大きな強みになります。例えば保育士が約5,000人規模で働いてくれていることは、ゼロから求人を出して数人を集めるのとは圧倒的な差があり、他社との差別化、競争力に繋がっています。

採用には特別な手法があるわけではありません。当社の場合、業界トップクラス という先行したアドバンテージがあり、大手としての給料や休み、福利厚生などの有利な面があることも人材が集まる要因でしょう。

処遇は金銭面だけでなく、どのような経験ができるかも重要です。当社の保育施設は業界最大手であるため、女子プロゴルファーによる体験教室、ヴァイオリニストのヴァイオリン教室など、事業規模が大きいからこそできる企画があり、従業員の皆もこうした企画に携われることを楽しいと感じてくれていると思います。これも事業規模のアドバンテージです。

取材担当(石嵜)の感想

人手不足と言われる時代でも、業界や職種によって求められる人材や能力が変化していくというお話は、今後のキャリアを考える上で大変勉強になりました。AIの進化によって必要とされる人材が変わる可能性がある一方で、保育や介護のように「人」が不可欠な分野があるというお話は、自分の興味や強みをどのように活かしていくべきかを考えるヒントになりました。

ライクグループが持つ事業規模の大きさが、人材確保や従業員のモチベーション向上に繋がっているという点は、企業選びにおいてどのような点に着目すべきかを示唆していると感じました。

取材担当(石嵜)の感想

【岡本様から学生へのメッセージ】

就職して会社に入ってから、イメージと違うとか、思った配属じゃないとか、不満を口にするのであれば、思い切って自分でチャレンジすれば良いと思います。チャレンジするのが不安でできないのであれば、愚痴を言わずに目の前の仕事に誠実に取り組むべきです。思い切った行動もないのに、愚痴を言っても何も始まりませんし、成長もありません。それを聞かされると周りの人も楽しくないでしょう。

どうしても気に入らないことや、やりたいことがあるならば、会社を辞めてチャレンジしたら良いのではないでしょうか。しかし、多くの人がその覚悟を持たずに中途半端なままだと感じます。人生は長いです。

働く期間は40年以上になる人もいるでしょう。愚痴を言い続けながら40年も働くくらいなら、自分で勝負をするか、勝負しないのであれば愚痴を言わずに愚直に働くか、どちらかしかないと個人的には思います。

経営者として大切にしていることは、人と人との繋がりを大切にすることです。そして、人をこちらから裏切らないこと。裏切られることはあっても、こちらから裏切ることはしないようにしています。

最終的には全ての人々が何だかんだと繋がっています。意外なところで知り合いだったりするものです。普段から裏切らずに誠実にやっていれば、あるキーパーソンと繋がった際に、「あいつはいい加減なやつではない、信頼できる」と言ってもらえて応援してもらえる、という経験もありました。お金よりも何よりも、信頼こそが人生を生き抜く上で最も重要な資産だと考えています。

学生時代にできること、若いうちにやっておいた方が良いこととしては、まず海外に行くことです。最近は海外に行く人が減り、パスポートを持っている日本人が少ないと聞きます。学生時代は、お金はなくても時間があります。

様々な国を見て、自分たちの日本の常識が世界の非常識であることを経験してほしいです。偏った価値観だけを持った日本人が増えすぎているように感じます。異文化を経験することで、物事を多面的に考えられるようになり、ピンチに強くなるでしょう。

今の若い人たちは、同じような学力、同じような大学の人と繋がり、同じような企業に行くことが多いです。そのため価値観が似通ってしまいがちです。ぜひ学生時代には、多様な価値観を得られるような経験をしてほしいと思います。

取材担当(石嵜)の感想

仕事に対する厳しい姿勢と、それとは対照的に人との繋がりを非常に大切にされているというお話が印象的でした。特に、学生時代の友人の縁を、何十年も大切にされているエピソードからは、損得勘定のない関係性の重要性を学びました。

また、「日本の常識は世界の非常識」というお話は、海外経験の乏しい自分にとって深く響きました。多角的な視点を持ち、ピンチに強くなるために、若いうちに異文化に触れることの重要性を改めて感じることができました。

取材担当(石嵜)の感想

【ライク株式会社の今後の展望】

今後の事業ビジョンとして、海外展開に少しずつ着手しています。具体的には、インドネシアやベトナムを攻めていきたいと考えており、まずは日本式の保育事業を展開したいと考えています。

これらの国は平均年齢が若く子どもが多いため、今後急成長が期待される地域です。そうした地域で日本式の保育を広めることは、利益もさることながら、現地の保育レベル全体の向上に貢献できると考えています。

もちろん、海外展開でもしっかり と利益を上げられる会社にしていきたいと考えています。日本は今後も少子化が続くと予想されますが、子供が多いこれらの国でのビジネス展開は、当社の成長にとっても重要です。これは会社として近い将来に実現させたいと考えています。

私個人の目標としては、この会社を引っ張ってくれる人材が現れ 、会社を50年、100年と永続的に発展成長させてくれるような後継者を育成したいと考えています。保育や介護は非常に社会性の高い仕事であり、当社が潰れるわけにはいきません。

例えば毎日約1万5,000 人の子どもたちが保育園や学童に来ている中で、会社がなくなれば 社会不安につながります。何があっても会社を永続的に運営していかなければなりません。ですから、バトンをしっかりと引き継いでくれる人材が必要であり、 これが最も重要だと考えています。

取材担当(石嵜)の感想

今後の海外展開のお話からは、社会課題解決への貢献という視点が強く感じられ、非常に共感しました。利益だけでなく、現地の保育レベル向上に貢献したいという思いは、企業の社会的存在意義について考える良い機会となりました。

そして、岡本会長ご自身の「後継者育成」という目標は、会社を永続させることへの強い責任感と同時に、次世代への期待を感じさせるものでした。自身の後進育成に全力を注ぎたいというお姿は、経営者としての器の大きさを感じさせ、将来リーダーを目指す上で見習うべき点だと感じました。

取材担当(石嵜)の感想