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ココロのうるおいを届ける、130年続く老舗企業の挑戦

2025年07月14日

株式会社 トンボ飲料

ココロのうるおいを届ける、130年続く老舗企業の挑戦

株式会社トンボ飲料は、1896年に創業し、もうすぐ130周年を迎える富山に根ざした老舗飲料メーカーです。サイダー、シャンメリー、ノンアルコール飲料など、様々な製品を通じて「カラダのうるおい」はもちろんのこと、感動や楽しさ、安らぎといった「ココロのうるおい」、すなわち”マインドケア”をお届けしています。清らかな水に恵まれた富山の地で、飲料の製造・販売を通じて社会に貢献しています。今回は、「ココロのうるおい」をキーワードに、130年近くにわたり富山の地で挑戦を続ける老舗飲料メーカー・株式会社トンボ飲料の歩みと、今後に向けた展望について、代表取締役社長・翠田様にじっくりとお話をお伺いしました。

<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>


【翠田様の今までの経緯・背景】

私はトンボ飲料の五代目社長を務めております。幼い頃から、当社が代々家族で経営されてきた歴史があるため、いずれ会社を継承するという意識はありました。新卒で入社した飲料会社で約5年間サラリーマンとして勤めた後、富山に戻り、自身で飲料ビジネスを経営してみたいという思いでこの道を選びました。当時の飲料業界の先行きには不透明な部分も多かったのですが、実際に仕事をする中で、飲料の事業そのものよりも、「経営者」という仕事に大きな魅力を感じたのです。

私の人生の目的は、仕事を通じて自己の人格を高めることだと考えています。経営者の仕事は、多くの「重責」を背負う大変な仕事ではありますが、その重責を担うことが自身の成長に繋がると信じています。この信念があったからこそ、困難な道を選び、経営者としての道を歩み続けることができています

取材担当者(石嵜)の感想

現代の若者の中には、起業や家業の継承に際してリスクを恐れ、ブレーキがかかってしまう人が少なくありません。

しかし、社長が「人格を高める」ことを仕事の目的とされている点は、自己実現を重視する学生にとって非常に学びの多い視点だと感じました。単に経済的な成功だけでなく、仕事を通じて人間として成長するという考え方は、将来のキャリアを考える上で非常に重要だと改めて認識しました。

取材担当者(石嵜)の感想

【株式会社トンボ飲料の事業・業界について】

当社の事業は大きくBtoBとBtoCの二つの柱に分かれています。売上の約8割を占めるBtoB事業では、販売力やブランド力は持ちながらも、飲料や食品の製造手段を持たない企業に対して、製品開発から製造までを一貫して請け負う受託生産(OEM/ODM)を行っています。

これが当社の最大の強みであり、メインの事業領域です。一方、BtoC事業では、子会社「バランス」を通じて自社ブランドの飲料を販売しており、今後このブランドの育成と拡大にも力を入れていきたいと考えています。

現代はモノが溢れる時代であり、特に飲料は「コモディティ商品」として付加価値を得ることが難しい業界です。喉を潤す、水分を補給するといった基本的な機能だけでなく、「心を潤す」「美しくなる」「元気になる」といった、飲料が持つ一次的な機能を超えた価値を提供することに挑戦しています。私たちは、いかにして飲料に新たな価値を見出し、お客様に届けられるかという問いに日々向き合っています。

私たちは「難度の高い仕事に取り組むことにより人間として成長しよう」という経営理念を掲げています。社員には、単に収入を得るだけでなく、仕事を通じて自己を実現し、人格を高めていくことを大切にしてほしいと考えています。会社の最も大切なものは「社風」だと信じています。製品や技術は、お金を出せば手に入りますが、社風だけは短期間では作れず、お金でも買えない唯一無二の強みだからです。

取材担当(石嵜)の感想

料という日常的な商品でいかに付加価値を生み出すかという課題に対し、身体だけでなく「心の潤い」という新たな価値提供に挑戦されている点に深く感銘を受けました。

また、社長が会社の最も大切な強みとして「社風」を挙げられていることは、私たち学生が企業を選ぶ上で非常に重要な視点です。給与やワークライフバランスだけでなく、企業文化や理念との合致が、長期的なキャリア形成においていかに重要かということを改めて学びました。

取材担当(石嵜)の感想

【翠田様から学生へのメッセージ】

学生の皆さんには、ぜひ「勉強」をしてもらいたいと強く願っています。私自身、学生時代にもっと勉強しておけばよかったと、今70歳になって人生で一番勉強していると実感しています。特に「読書」は人生の宝物になるものです。最新の本ももちろん良いですが、長く読み継がれてきた古典的な本は、時代を超えた普遍的な価値を持っており、皆さんにとって間違いなく財産になるでしょう。

若い時は時間がたっぷりあるように感じがちですが、貪欲に知識を吸収しようとすることが大切です。本を読むこと、人の話を聞くこと、映画や芸術に触れることなど、様々な形でのインプットを意識的に行ってください。それが、皆さんの人間性を豊かにし、将来の仕事や人生に必ず役立つはずです。

私たちは、変化の激しい現代において、常に「チャレンジ精神」を持つ若い人材を求めています。困難な状況でも、それを乗り越えることを自身の成長と捉え、共に未来を切り開いていける方と出会えることを楽しみにしています。

取材担当(石嵜)の感想

社長が70歳になっても人生で一番勉強していると語られていることに、非常に心を打たれました。私たち学生はとかく目の前のことや最新情報にばかり目を向けがちですが、古典を通じて普遍的な知恵を学ぶことの重要性を教えていただきました。

仕事を通じて自己成長を求めるという社長の姿勢は、まさに私たち若い世代が目指すべき姿であり、今後のキャリア選択において大いに参考にしたいと思います。

取材担当(石嵜)の感想

【株式会社トンボ飲料今後の展望】

今後の事業展開としては、BtoBとBtoCの両事業セグメントをさらに発展させ、当社の事業規模を現在の2倍から3倍、具体的には年間売上高300億円規模にまで拡大することを目指しています。この大きな目標を達成するために、製造体制の変革を進めています。現在、当社の製品の約6割は外部の協力工場で製造されており、今後この外部委託の比率をさらに高めていく方針です。

自社工場を急激に拡大するのではなく、当社の強みである製品開発力と、優れた製造技術を持つ外部協力工場を繋ぎ、フードソリューションネットワークを構築することで、生産能力を飛躍的に向上させます。現在、全国に約15社の外部協力工場がありますが、このネットワークをさらに拡大し、それぞれの工場を育成していくことで、お客様の多様なニーズに応えていきたいと考えています。

また、国内の人口減少は避けられない現実であるため、将来的には海外市場への展開も視野に入れています。会社の成長には、新たな視点と挑戦意欲を持った若い人材の存在が不可欠です。私たちは、挑戦を楽しみ、社会に貢献したいと考える若い世代の皆さんと共に、新たな歴史を築いていきたいと願っています

取材担当(石嵜)の感想

現在の年間売上120億円を300億円規模へと拡大するという、非常に具体的な目標を掲げられていることに驚きました。特に、自社工場だけでなく外部協力工場との連携を強化し、フードソリューションネットワークを構築していくという戦略は、現代の市場環境を的確に捉えた革新的なアプローチだと感じました。この成長戦略は、学生にとって多くの挑戦機会と学びの場を提供してくれる魅力的な企業だと感じました。

取材担当(石嵜)の感想