昭和45年に創業した株式会社音羽は、大阪・兵庫を中心に和食・寿司店を展開する企業です。お客様の「笑顔のこだわり」「食へのこだわり」「人生の節目をお手伝い」を大切に、多岐にわたるサービスを提供しています。
関西初となる「流れ鮨」をはじめ、回転寿司、カウンターで楽しめる高級寿司店、出前専門店、さらには宿泊施設を兼ね備えた料理旅館まで、幅広い業態でお客様の様々なニーズに応えています。地域に密着し、お客様の人生のあらゆるイベントに寄り添うことができる点が、長年にわたり多くの方々から支持されている理由の一つです。
単に食を提供するだけでなく、「経営の目的は人づくり」という理念を掲げ、人財育成を重視した組織づくりを行っています。
今回は、専務取締役 田舞様からお話をお伺いしました。
<聞き手=石嵜渉(学生団体GOAT編集部)>
【田舞様の今までの経緯・背景】

現在、株式会社音羽で専務取締役を務める「私」は、現在の立場に至るまでの道のりを語ります。会社は父と叔父が創業し、今から10年前に私たちの世代が引き継ぎました。幼い頃から家業の姿を見て育ちましたが、実は反発していた時期もありました。
転機が訪れたのは22歳の時。経営のセミナーを受講したことで、父が会社を守るためにどれほどの覚悟を持って経営にあたっていたのかを深く理解することができ、この経験が、家業を継ぐという決意を固める大きなきっかけとなりました。
当初は自分自身で独立して店を持ちたいと考えていた時期もありましたが、ある経営者からの「君1人でできることは限られる。100人を育てれば、より多くのお客様を幸せにできる」という言葉に触れ、組織として経営していくことの重要性を痛感しました。この学びが、現在の経営スタイル、特に人財育成を重視する姿勢へと繋がっています。
取材担当者(石嵜)の感想
同世代である22歳という若さで、家業への反発から一転して経営者としての覚悟を決めたというお話に、とても引き込まれました。
ご自身の気持ちの変化や、それを受け止めて決断された経緯は、まさに人生の大きな選択をする際の葛藤や学びが凝縮されていると感じます。
また、「1人でなく100人を育てる」という考え方は、自分の力だけで何かを成し遂げようとしがちな若い自分にとって、組織として力を合わせること、そして人を育てていくことのスケールの大きさと責任感を教えてくれる貴重な視点だと感じました。就職活動で会社の規模や役割を考える上でも、非常に学びになるエピソードです。

【株式会社音羽の事業・業界について】

株式会社音羽の強みは、その地域密着型の多業態展開にあります。関西初の流れ鮨や回転寿司、高級寿司店、出前専門店など、お客様の様々なシーンやニーズに合わせた店舗を展開しており、さらには宿泊施設を備えた料理旅館の運営や、婚礼、結納、宴会、弁当の提供なども行っています。
このように、お客様の人生におけるお祝い事や大切な節目など、様々なライフイベントに関わることができる点が、長年にわたり地域のお客様に愛され続けている理由だと「私」は思います。
しかし、創業以来、経営における最大の課題は「人」に関することでした。昔の飲食業界には強い「職人気質」があり、酒や賭け事、従業員間のトラブルが日常的に見られるような環境でした。
そうした環境を改善し、より良い組織を作り上げるために、音羽グループでは「経営の目的は人づくり」という理念を掲げ、社員教育を強化してきました。現代では人手不足が深刻化しており、優れた人財を確保し、育成していくことの重要性はますます高まっていると感じています。
取材担当(石嵜)の感想
多業態で地域のお客様の人生に深く関わっているというお話を聞き、単に食事を提供するだけでなく、お客様との繋がりや信頼関係をとても大切にしている会社だと感じました。
また、かつての飲食業界が抱えていた「職人気質」という課題に対し、正面から向き合い「人づくり」を経営の軸に据えることで、組織文化を変えようと努力されてきた点に感銘を受けました。
現代の就職活動でも「人」や「働きがい」は多くの学生が重視するポイントなので、音羽グループが人財育成に力を入れているという事実は、働く場所を選ぶ上で安心感や魅力を感じる学生も多いのではないでしょうか。
業界の課題を乗り越えようとする姿勢は、企業を選ぶ上で重要な視点だと学びました。

【株式会社音羽の未来の展望】

音羽グループでは、今後の新たな挑戦として「非常食」の開発に取り組んでいく計画があります。南海トラフ地震などの大規模災害リスクを見据え、地域社会への貢献を目指す取り組みです。
長年培ってきた寿司や和食の調理技術、食材に関するノウハウを活かして、災害時にも安心しておいしく食べられる保存食の開発を進めています。
この非常食開発事業を通じて、本業である飲食事業の枠を超え、災害発生時にも地域の方々が困らないよう、安心を提供できる存在でありたいと考えています。
取材担当(石嵜)の感想
飲食業という本業の枠を超えて、社会貢献として非常食開発に取り組むという未来の vision にとても感銘を受けました。
特に、地震などの災害が多い日本において、食の安心を提供するというアイデアは、多くの人にとって非常に価値のあることだと感じます。
自分たちの持つ技術やノウハウを、このように社会の課題解決に活かそうとする企業の姿勢は、まさにこれからの時代に求められるものだと思います。
企業の利益だけでなく、社会にどう貢献できるかを真剣に考えているという点が、学生にとって大きな魅力になるのではないでしょうか。未来を見据えた挑戦に、刺激を受けました。

【田舞様から学生へのメッセージ】

これから社会に出る学生に向けて、ご自身の経験や会社の考え方を踏まえ、メッセージを送ります。「100人を育てて、より多くのお客様を幸せにする」という学びから、「組織として働くことの力、そして人財育成の重要性」を改めて伝えたいです。個人の力には限界がありますが、多様な人が集まる組織の中で互いを高め合い、協力することで、一人では到底成し遂げられない大きな目標を達成し、社会に貢献することができるのです。
音羽グループでは、「経営の目的は人づくり」という理念のもと、社員一人ひとりが成長し、輝けるような環境づくりを目指しています。特に現代は人手不足が叫ばれていますが、だからこそ、会社として人を大切にし、その育成に力を注ぐことが不可欠だと考えています。
働く場所を選ぶ際には、単に仕事内容だけでなく、その会社が何を大切にしているのか、どのような vision を持って社会と関わろうとしているのか、といった点にも注目してほしいです。音羽グループのように、地域に根差し、お客様の人生の節目に寄り添いながら、非常食開発のような新たな社会貢献にも挑戦する企業文化に共感する方は、きっと働くやりがいを見つけられるはずです。
取材担当(石嵜)の感想
専務のお話を聞いて、「人づくり」が会社の成長や社会への貢献に繋がるということを強く実感しました。
就職活動ではつい「自分が何をしたいか」に目が行きがちですが、会社という組織の中でどのように成長し、周りの人と協力しながら社会に価値を提供していくか、という視点を持つことの重要性を学びました。
地域に根差し、お客様に寄り添う温かさがありながらも、社会の課題解決に挑戦していくという音羽グループの多様な側面に触れ、自分のキャリアを考える上で非常に参考になりました。
どのような環境でなら自分が成長し、会社と一緒に社会に貢献していけるのかを、改めてじっくり考えてみたいと思います。
