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創業73年の老舗アパレル3代目が語る「公私混同しない」経営哲学と日本製品への使命感

2026年03月26日

島崎株式会社

創業73年の老舗アパレル3代目が語る「公私混同しない」経営哲学と日本製品への使命感

島崎株式会社は、昭和28年に埼玉県秩父市で創業した婦人下着製造業のアパレル企業です。江戸時代から織物が盛んだった秩父で、初代が織物業から独立して会社を興しました。現在はODM/OEM生産が売上の約85%を占め、自社ブランド「Fleep」も展開しています。3代目の嶋﨑社長に、継承の経緯から経営哲学までお話を伺いました。

旅行会社の内定を蹴り、急遽呼び戻された3代目

うちの会社は祖父が創業し、母が2代目として継ぎ、私が3代目になります。私自身は継ぐよう言われたことは一度もなく、旅行が好きだったので旅行会社から内定をもらっていました。

その内定を母に伝えたところ、「私はそういうつもりで育てていなかった」と泣かれました。正直「だったら早く言ってよ」という気持ちでした。最終的に、継ぐことを前提に伊藤忠商事で2年半、繊維の勉強をさせてもらいました。

本来は10年ほどいる予定でしたが、会社がかなり傾き始めたため急遽戻ることになりました。当時のコンサルタントから「息子を呼び戻すべきだ」という助言があり、会社の危機を初めて知った私は、立て直すために戻る決断をしました。

取材担当者(石嵜渉)の感想

自分でキャリアを決めるつもりだったにもかかわらず、急遽老舗の命運を背負うことになった経緯は衝撃的です。人生の転機や不測の事態への向き合い方を考える上で、大きな学びとなるエピソードではないでしょうか。

取材担当者(石嵜渉)の感想

28歳の社長が経験した「リストラ担当」という試練

私が経験した中で一番大変な仕事は、本社工場を閉鎖した時の対応です。海外生産が主流になる中、自社工場が会社全体の足を引っ張る状況でした。

私は28歳で社長になりましたが、その直前に本社工場閉鎖の実質的なリストラ担当となりました。会社に帰って1年ほどの人間が、右も左もわからない中で従業員一人ひとりに説明し、退職してもらう作業を行ったのが一番大変でした。

ただ、悪い時に継いだこともあり、開き直りの気持ちがありました。もし倒産しても自分の責任ではないという思いと、若かったのでやり直すチャンスはあるという気持ちから、思い切った手が打てたのだと思います。

取材担当者(石嵜渉)の感想

28歳で会社の命運を左右するリストラを経験されたプレッシャーは想像を絶します。「若かったからできた」という言葉には、逆境をポジティブに捉える起業家精神を感じます。

取材担当者(石嵜渉)の感想

公私混同の禁止と社員の成長を願う環境づくり

経営者として大切にしていることは、公私混同しないということです。中小企業では公私混同してしまう人が結構多いからです。

島崎株式会社の「島崎」と私の個人名の「嶋﨑」は実は字が違います。これは初代からの「公私混同するな」という教えだと思い、実践しています。会社が厳しい時に社長が公私混同している姿が見えると、社員は不満を感じます。

また、社員が成長するところに非常にやりがいを感じるので、やりがいを持って働ける環境づくりを心がけています。社員が成長を実感し、情熱を持って仕事に取り組めることが会社を成長させる鍵だと考えています。

取材担当者(石嵜渉)の感想

「公私混同しない」という信念は、組織の信頼を築く上で最も基本的かつ重要なルールです。経営者の倫理観がそのまま社風や従業員のモチベーションに直結することを教えてくれます。

取材担当者(石嵜渉)の感想

工場を守るための自社ブランドと「日本製」への使命

自社ブランド「Fleep」を作った実情は、工場を年間通じて稼働させる目的が強くありました。下着業界は年2回の山があり、谷間の時期に工場の仕事がなくなる時期があったのです。

Fleepは敏感肌やアトピーの方、乳がん術後で肌が敏感になった女性にも安心してご愛用いただけると好評をいただいています。「この下着と知り合えてよかった」という感謝のお手紙が社員の大きなやりがいになっています。

アパレル業界で日本製の比率は数量ベースで1%強しかありません。Fleepは全て日本製でやっており、この日本の物づくりは絶やさないようにしたいという思いが非常に強いです。

取材担当者(石嵜渉)の感想

自社ブランドが「工場を維持し、雇用を守る」という目的から生まれた事実は、老舗製造業の経営者としての責任感を示しています。日本製造にこだわる姿勢に強い使命感を感じました。

取材担当者(石嵜渉)の感想

人生は「ネタ探し」、現場で自分で考える力を

今の学生に伝えているのは、大学時代を「人生の夏休み」とは位置付けられないということです。せっかく自由に使える時間が多いので、いろんな経験をした方がいいと思っています。

私の考えは、人生は「ネタ探し」だということです。ネタが多ければ多いほど人間性の幅も広がり、多様性にもついていけるようになります。様々な経験を通じて引き出しを育んでほしいのです。

現場でいろんなことを感じ、自分自身で考えるということをしておかないと、難しい時代を乗り越えることはできません。情報が溢れる中で精査する力がないと真実が分からなくなります。あまり考えすぎず、行動してネタを探すつもりで色々行動されたらいいと思います。

取材担当者(石嵜渉)の感想

「人生はネタ探し」というメッセージは、情報過多な時代を生きる学生に強く響く言葉です。経験値と判断力の重要性を教えてくれる、実体験に基づいた貴重なアドバイスです。

取材担当者(石嵜渉)の感想