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創業100年を目指す株式会社アイセン、筈谷社長が語る「誠実な経営と人脈の哲学」

2026年04月15日

株式会社アイセン

創業100年を目指す株式会社アイセン、筈谷社長が語る「誠実な経営と人脈の哲学」

株式会社アイセンは、和歌山県海南市に本社を置く創業80周年を迎えた日用品雑貨メーカーです。海南市は家庭用品の全国シェア約80%を誇る地場産業の地であり、アイセンは「キレイを、楽しく。」をコンセプトに、スポンジやブラシなどの清掃用品から洗濯用品まで、日々の暮らしに欠かせない製品を製造・販売しています。「愛」を根底に置いた経営理念のもと、従業員のウェルビーイング向上やグローバル展開など、伝統を守りながら時代に合わせた変革を続けています。

「敷かれたレール」への反発と、30歳で見出した家業の価値

私の祖父が兄弟3人で創業したアイセンは、今年で創業80周年という大きな節目を迎えました。私は幼い頃から周囲に「後継者」として見られて育ちましたが、実はその敷かれたレールに対して強く反発していました。自分の人生は自分で選びたい、もっと色々な世界を見てみたいという意識が強く、アイセンに入社するという選択肢は自分の人生から完全に削除して学生時代を過ごしていました。

転機が訪れたのは30歳の時でした。結婚したタイミングで父から「戻ってこないか」と声をかけられたのです。家族を持ち生活の基盤を真剣に考える時期でもあり、一度父の話を聞いてみようと和歌山へ足を運んだのが全ての始まりでした。

改めて会社の歴史を聞き、祖父の代から続く重みや、幼い頃から顔を知っている社員の方々の存在を意識したとき、自分の中にあったわだかまりが消えました。当社の「販売先を愛し、仕入先を愛し、自社を愛する」という理念が深く腑に落ち、入社して20年経った今では、この場所を選んで本当に良かったと心から実感しています。

取材担当者(石嵜渉)の感想

一度外の世界を経験し、客観的にルーツを見つめ直すことで「与えられた仕事」が「一生をかける使命」へと変わる姿に感銘を受けました。キャリア選択において、条件面だけでなく企業の歴史や理念に自分を投影できるかが、真のやりがいに繋がるのだと感じます。

取材担当者(石嵜渉)の感想

帝王学なき中での挑戦と覚悟

私は3年前に代表取締役に就任しましたが、経営に関する「帝王学」は一切学んでおらず、一体何をすればいいのかさえ分からず非常に大きなプレッシャーがありました。特に苦労したのは従業員との距離感です。昨日まで「同僚」として一緒に汗を流していた仲間たちに対し、急に「経営者」として方針を伝え指示を出さなければなりません。

しかし、現場の第一線にいたからこそ分かることもあります。経営の専門家としてではなく、現場の痛みや喜びを共有してきた者として社員と同じ目線で未来を語れることは私の強みだと思っています。

完璧な準備ができていなくても、置かれた場所で最善を尽くすことの重要性を身をもって学んでいます。がむしゃらに取り組む中で、ようやく自分なりの経営の形が見え始めました。

取材担当者(石嵜渉)の感想

完璧な準備よりも「覚悟」が人を動かすのだと痛感しました。現場で培った誠実さを武器に未知の責任から逃げずに立ち向かう姿勢こそ、リーダーシップの原点ではないでしょうか。立場が変わっても現場の視点を忘れない姿勢は、社員にとって大きな安心感に繋がっているはずです。

取材担当者(石嵜渉)の感想

「従業員第一」を掲げ、やりがいを生み出す組織づくり

経営において私が最も大切にしているのは「従業員」です。従業員自身がモチベーション高く働き、自分の仕事にやりがいを感じていなければ、お客様に最高のサービスを提供することなど到底できないと考えています。そのため、従業員のエンゲージメント向上やウェルビーイングを経営の最優先課題に据えています。

苦境に立たされた時こそ、今自分たちが取り組んでいることの「価値」を再定義し、納得感を持ってもらう仕組み作りが重要です。小さな成功を共有し、自分たちの製品が誰かの暮らしを豊かにしているという実感を社員全員で分かち合える環境を整えることに全力を注いでいます。

私たちの仕事は単にスポンジやブラシを売ることではありません。地場産業としての誇りを持ち、「キレイ」を通じた喜びを届けることです。やりがいのある職場を創ることが品質向上に繋がり、最終的にお客様から愛される企業になれると信じています。

取材担当者(石嵜渉)の感想

「従業員が幸せでなければお客様を幸せにできない」という言葉は、働く側の視点に立った温かい経営哲学です。数字だけでなく働く過程での「やりがい」を大切にする文化は、自己成長と社会貢献の両立を願う学生にとって魅力的な環境でしょう。

取材担当者(石嵜渉)の感想

未来を切り拓く学生たちへ。人脈がビジネスの可能性を広げる

これから社会へ出る皆さんに伝えたいのは「人脈作り」の大切さです。学校のネームバリュー以上に、幅広い世代や異なる職種の人たちと会い多様な価値観に触れることは、社会に出てから何物にも代えがたい財産になります。

自身の専門領域以外のコミュニティに顔を出すことで、全く異なる視点を得ることができます。現在、私自身も全く関係のない業種の方との繋がりから新しいビジネスが生まれることを経験しています。内向きにならず外の世界へ飛び出して得た横の繋がりが、将来のビジネスを大きく広げる力になります。

若いうちの経験は全て自分の力に変わります。自分の可能性を狭めず、多くの人と対話し広い知識を吸収してください。その積み重ねがあなた自身の市場価値を高め、豊かな人生を切り拓く鍵になるはずです。

取材担当者(石嵜渉)の感想

「人脈」を異なる価値観を掛け合わせて新しい価値を創造する「種」として捉える考え方は、不透明な時代を生き抜く学生にとって強力な指針になります。学歴よりも「人間力」や「ネットワーク」が重要視される実社会のリアルを教えてくれる、価値ある教えでした。

取材担当者(石嵜渉)の感想