株式会社体育社は、1947年に創業した広島県のスポーツ用品小売企業です。「スポーツには無限の力がある」という理念のもと、県内で複数店舗を展開。アスリートや地域のスポーツ愛好者に寄り添うサービスを提供しています。健康経営優良法人にも複数回認定され、社員の働きやすさも重視する企業です。今回は常務執行役員の波田氏に、31年間のキャリアと若者へのメッセージを伺いました。

高卒入社から31年。大卒社員に負けまいと駆け抜けた原点
私は高校卒業後すぐに体育社に入社し、31年間お世話になっています。入社のきっかけは、高校のバスケットボール部でチームウェアを作るために来店した際、接客してくれた女性スタッフの印象が非常に良かったことです。高校生の話を親身に聞いてくれる姿に影響を受け、この人と一緒に働きたいと思い、自ら応募しました。
入社試験には100人以上が受験し、ほとんどが大学生でした。高校生は私一人で、その中で採用していただきました。入社後も後輩は全員年上だったため、年上の大卒社員には負けたくないという思いが非常に強く、誰よりも早く上に上がっていこうという意識は高かったと思います。
入社3年目で結婚し子供ができたことで、働く目的が「自分のため」から「家族のため」に変わりました。当時の上司には毎日のように食事に連れて行ってもらい、仕事の考え方を徹底的に教わりました。人との出会いによって考え方も立場も変わり、それが今の自分を形成しています。
取材担当者(石嵜渉)の感想
高卒という立場をハンデではなくバネに変え、成長のエネルギーにされた姿勢に感銘を受けました。働く目的が家族のために変化したことでキャリアの方向性が明確になったというお話は、就活生が自分の「働く理由」を考える上で大きなヒントになるはずです。


販売職の価値は「人」の魅力にあり
若者へのアドバイスとして、まず「行動すること」の重要性を伝えたいです。知識は本や動画で得られますが、椅子に座って考えても何も生まれません。動いてこそ初めて「こうだったんだ」という生きた知識が身につきます。成功しても失敗しても、とにかく行動することが、キャリアを積み上げる必須条件です。
スポーツ用品はどこでも同じものが売っています。安く買うならネットで十分です。しかし、商品の品質や使い方に疑問がある場合は、店舗で実際に触り、店員に話を聞きたいはずです。「体育社のこの人から買いたい」と思ってもらえるかどうかが、これからの時代、ものすごく大事な要素になります。
お客様がAを欲しいと言っても、状況を鑑みてBをお勧めする場合もあります。それが販売員の存在価値です。うまく喋れなくても良いから、相手の話をしっかり聞き、理解しようとすることがコミュニケーションです。人としての魅力を高めることが、営業・販売職には求められています。
取材担当者(石嵜渉)の感想
どこでも同じ商品が買える時代だからこそ「人から選ばれる」必要があるという視点は、販売職の本質を突いています。単なる商品提供ではなく、信頼関係を築くプロフェッショナルとしての姿勢は、就活生がキャリアを考える上で重要な学びになるでしょう。


若者へのメッセージ。後悔のない人生を
今の若い人たちには、元気とパワーがあります。私は49歳ですが、体力も減り、できることは狭まっていきます。しかし10代、20代、30代の方たちには可能性しかありません。失敗したからといって命を取られるわけでも死ぬわけでもありません。躊躇せずに、まずは行動してほしいです。
私たちは「あの時あれをしておけばよかった」という後悔しかありません。だからこそ、若い人たちには後悔してほしくないのです。あれもできた、これもやったという充実した人生を送っていただきたいと思っています。
日本人は空気を読む文化がありますが、時には自分を出していかないと選ばれません。「誰でもいい」ではなく「A君だからこそ買いたい」と思ってもらうためには、繰り返しチャレンジし、失敗と成功を重ねることで、自分の強みを見つけていくしかないのです。
取材担当者(石嵜渉)の感想
「失敗を恐れず行動せよ」というメッセージは、一歩踏み出せない学生への力強い後押しです。経営者が「後悔しかない」と率直に語る姿に、今この瞬間の行動の大切さを痛感しました。


「自分だからこそできる仕事」を追求してほしい
当社でも人材確保は課題です。募集をかけても応募は年に3、4人程度で、辞めてしまう方も多く、常に人手は足りていません。しかし私は転職を悪いことだとは思っていません。本人が思っていたものと現実が違うミスマッチは仕方ないことです。
入社してもらったからには、楽しんで働ける環境づくりを日々変化させています。相談窓口の設置やコミュニケーションの強化にも力を入れてきました。経理などはシステム化していますが、営業と販売は人と人とのコミュニケーションが主軸であり、人間にしかできない仕事がほとんどです。
社員教育では、誰でもできる仕事ではなく、自分じゃないとできない仕事、自分だからこそできる仕事に注力してほしいと伝えています。自分の強みを活かし、スキルを上げていくことが、キャリア形成において最も大切なことです。
取材担当者(石嵜渉)の感想
転職をミスマッチと割り切り、環境改善に注力する姿勢は誠実な企業の姿です。AI時代でも人のコミュニケーションが主軸という業態だからこそ、「自分だからこそできる仕事」を追求する重要性が明確になりました。就活生は自分の強みを考えるきっかけにしてください。
