株式会社システムネットワークは、1986年の設立以来、宮城県仙台市を拠点にソフトウェア開発を行っているIT企業です。「信頼」「挑戦」「熱意」を経営理念に掲げ、技術力だけでなく、顧客や仲間とのコミュニケーションを大切にする「人間力」の向上を重視したサービスを提供しています。
多くのIT企業が効率を最優先する中で、同社は「企業の発展と社員・家族の豊かさ」を追求する温かみのある社風が特徴です。客先常駐という働き方が多い業界でありながら、社員の帰属意識を高め、一人ひとりの成長と真剣に向き合う組織づくりを行っています。今回は、飲食店経営からIT業界へ転身という異色の経歴を持つ代表取締役社長の佐々木順氏に、ご自身のキャリアの変遷、組織改革の苦悩、そしてこれからの時代を生きる就活生への熱いメッセージを伺いました。
<聞き手=東島愛奈(学生団体GOAT編集部)>
【飲食店の経営からITへ。30歳目前、崖っぷちからのキャリアチェンジ】

実は私のキャリアは、ITとは全く無縁の場所からスタートしています。大学在学中に飲食店経営に興味を持ち、そのまま大学を中退して自分の店、具体的には飲み屋を開いたのが20代の頃です。当時は若かったですし、それなりに楽しく経営していましたが、バブル崩壊後の不景気の波が徐々に押し寄せてきました。楽しくやっているだけでは利益が出ず、このままでは食べていけなくなるかもしれないという危機感の中で出会ったのが、当時普及し始めていたパソコンとインターネットでした。
店が暇だったこともあり、お客さんから譲り受けたパソコンとモニターでインターネットに触れるうちに、「これは面白い」と直感しました。まだスマートフォンもなく、一般家庭にはインターネットがほとんど普及していない時代でしたが、店を畳んで次の人生を歩むための武器として、独学で勉強を始めたのが最初のきっかけです。30歳を目前にして店を閉め、当時はまだ黎明期だった人材派遣会社に登録しましたが、不景気で仕事はなかなか見つかりませんでした。
そんな時、飲食時代のお客さんとチャットルームで話していた縁で、「うちの会社を紹介しようか?」と声をかけてもらったのが、現在のシステムネットワークでした。最初はアルバイトのような形での入社でしたが、そこからエンジニアとしてのキャリアがスタートしました。今の学生さんが「なんとなくAIに興味があるからやってみよう」と思う感覚に近い、純粋な好奇心からのスタートだったと言えるかもしれません。
取材担当者(東島)の感想
社長のキャリアが飲食店からスタートしたという事実に大変驚きました。IT企業の社長というと、理系出身のエリートというイメージを勝手に持っていましたが、佐々木社長のお話を聞き、人生には「無駄な経験はない」のだと強く感じました。 30歳目前での大きなキャリアチェンジは相当な勇気が必要だったと思いますが、逆境をチャンスに変えて学び直す姿勢は、変化の激しい現代を生きる私たちZ世代にとっても大きな希望になります。まさに「人生何があるかわからない」を体現されており、迷っている学生の背中を押してくれるエピソードだと感じました。

【「会社への帰属意識ゼロ」からの脱却。社員と本気で向き合った組織改革】

一番の苦労は、社員の「意識改革」でした。当社はいわゆる客先常駐、クライアントの企業に席を置いて開発を行うスタイルがメインの業務形態です。昔の技術者は職人気質の人が多く、客先でただ黙々とプログラムを書けばいいと考えている社員が大半でした。会社にほとんど戻らず、自分は会社の一員であるという帰属意識が希薄になり、まるでフリーランスの集まりのような状態になっていたのです。
さらに当時は、サービス残業が当たり前の業界風潮があり、社員がどれだけ頑張っても会社の利益に繋がらず、結果として社員に還元できないという悪循環に陥っていました。「会社があって、お客さんがいて、自分がいる」というバランスが完全に崩れていました。私は、社員が疲弊するだけの働き方を変え、会社も社員も豊かになる組織にしなければならないと強く感じました。そこで取り組んだのが、経営状態の透明化と評価制度の刷新です。
会社の利益構造をオープンにし、「会社が利益を出さなければ、皆さんの給料も退職金も増やせない」という現実を正直に伝えました。また、形骸化していた評価制度を見直し、一人ひとりに具体的なフィードバックを行うことで、納得感のある環境づくりに奔走しました。環境の変化についていけず辞める社員もいましたが、本気で向き合い続け、さらに新卒採用を復活させて若い風を入れたことで、徐々に組織としての一体感が生まれてきました。
取材担当者(東島)の感想
「技術さえあればいい」という考えから、組織としてどうあるべきかを問う改革へ。長年染み付いた社風を変えることは、想像を絶する苦労だったと思います。 特に印象的だったのは、社長が社員に対して「会社の財布事情」までオープンにして対話を重ねたことです。Z世代の私たちは「何のために働くのか」「この会社にいる意味は何か」を重視する傾向がありますが、佐々木社長のように腹を割って話してくれるリーダーがいる環境なら、安心してついていけると感じました。

【「一度に教えるのは4人まで」社長自らが新人を育成する理由】

当社では、今のところ、新卒・中途に関わらず、入社後半年間は私が直接研修を行っています。そして、一度に見る人数は「4人まで」と決めています。これは、一人ひとりの個性や理解度に合わせて丁寧に教えるための物理的な限界人数だからです。未経験者や文系出身者が入社することも多い当社では、画一的なカリキュラムをこなすだけの研修では意味がないと考えています。一度に大人数を入れても、結局教えきれずに放置してしまうなら採用する意味がありません。
一般的に、最初から優秀だった人やエリート街道を歩んできた人は、「できない人の気持ち」がわからないことが多いのです。彼らにとっての「当たり前」のレベルが高すぎて、初心者がどこでつまずいているのかを理解できない。しかし、私は30歳から未経験でこの業界に入り、苦労して技術を身につけた経験があります。だからこそ、初心者の目線まで階段を降りて、「なぜわからないのか」を一緒に紐解くことができるのです。
単にコードの書き方を教えるだけなら、外部研修やAIでも可能です。しかし、私が直接教えることで、「なぜその作業が必要なのか」「どう考えれば答えに辿り着けるのか」という根本的な思考プロセスを伝えることができます。AIを使えば答えはすぐに出る時代ですが、AIの回答が正しいかを判断し、本質を理解して活用するためには、やはり人間自身の「考える力」が不可欠だと考えています。だからこそ、効率が悪くても私が直接教えるスタイルを貫いています。
取材担当者(東島)の感想
「社長自らが半年間も研修担当」「定員4名」という贅沢な環境に衝撃を受けました。多くの企業が効率化を求めて研修を外部委託したり、大人数で実施したりする中で、あえて少人数でじっくり向き合うスタイルに、佐々木社長の「人を大切にする」という経営理念が体現されていると感じます。 「わからない人の気持ちがわかる」という社長の言葉は、就活生にとって非常に心強いです。未経験からIT業界に挑戦したい学生にとって、これ以上ない環境ではないでしょうか。

【就活生へのメッセージ:失敗を恐れず、「根拠」を持って行動せよ】

会人になると、どうしても時間の制約が生まれます。今のうちに旅行でも趣味でも、何でもいいので「やってみたい」と思ったことに本気で取り組んでください。そして、その行動一つひとつに対して「なぜそうするのか?」という根拠を持つ癖をつけてほしいと思います。なんとなく行動するのではなく、自分なりの理由や根拠を持って判断すること。これは仕事をする上でも非常に重要です。
そして、たくさん失敗してください。若いうちの失敗は財産です。大切なのは、失敗した後に落ち込むことではなく、「なぜ失敗したのか」「次はどうすればいいか」を学び取ることです。失敗から学ぶ方法さえ身につけておけば、社会に出てからも怖がらずに挑戦し続けることができます。AIに頼るのも良いですが、AIを神様にしてはいけません。あくまでツールとして使いこなし、最後は自分で考え、自分で判断できる力を養ってください。
また、IT業界を目指すからといって、プログラミングだけを勉強すればいいわけではありません。一見無駄に思える趣味や知識が、将来どんなシステム開発の現場で役に立つかわかりません。「広く浅く」でも良いので、多様な引き出しを持っておくことが、結果としてエンジニアとしての深みや対応力に繋がります。自分の可能性を狭めず、様々なことに興味を持って飛び込んでみてください。
取材担当者(東島)の感想
「失敗から学ぶ方法を覚えれば、社会に出ても怖くない」という言葉に、背中を押される思いでした。私たちは失敗を恐れて行動を躊躇してしまいがちですが、社長の言葉を聞いて、今のうちにたくさん転んでおこうと思えました。 また、便利なツールに頼り切るのではなく、自分の頭で考え、根拠を持って行動できる社会人になりたいと思います。佐々木社長、貴重なお話をありがとうございました。
