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2月 21, 2025
【株式会社タイヨウ】介護の形を変える、建築の思考
◇今の事業に至るまで◇
私はもともと建築関係の仕事をしていました。大学では建築を学び、一級建築士の資格も持っています。しかし、1980年代に千葉の鴨川で特定許可老人専門病院を運営する海原病院の先生と知り合ったことがきっかけで、介護業界に興味を持ちました。当時、地元に病院を誘致する計画がありましたが、地域の医師会の反対により計画は頓挫しました。その後、アメリカのワシントン州に住む知人を通じて、全米で3番目の規模を誇る介護施設「ホリデーリタイアメント」のCEOと知り合いました。
彼と交流し、実際にアメリカの施設を見学した際、介護の在り方に衝撃を受けました。しかし、当時の日本では介護保険制度が存在せず、民間企業が参入することは難しい状況でした。そのため、国内外の施設を訪問し、ボランティアとして現場を経験しながら情報を集めました。そして、2000年に介護保険制度がスタートしたことで、本格的に介護事業に乗り出すことを決意しました。
◇介護業界での苦労とやりがい◇
介護業界は日々課題が発生する業界です。特にコロナ禍では、クラスターが発生すると施設の営業を一時停止せざるを得ず、経営的にも大きな影響を受けました。人材確保も大きな課題で、特に地方では職員の確保が年々難しくなっています。しかし、それでもこの仕事を続ける理由は、社会的に必要とされる事業だからです。
また、職員が利用者のために努力し、その結果として利用者が快適に過ごせる姿を見たときには、大きなやりがいを感じます。地域社会に貢献し、必要とされる施設を運営しているという実感が、私や職員のモチベーションになっています。
◇経営者として大切にしていること◇
私は、経営者として「感謝の気持ちを忘れないこと」を最も大切にしています。施設の運営は、職員がいてこそ成り立ちます。彼らの努力があるからこそ、利用者により良いサービスを提供できるのです。そのため、日々の業務においても、職員への感謝の気持ちを忘れず、彼らの働きを正しく評価し、適切な環境を提供するよう努めています。
◇学生へのアドバイス:海外での経験が視野を広げる◇
私は学生の頃、バックパッカーとして海外を旅した経験があります。その経験を通じて、異なる文化や価値観に触れることの重要性を学びました。特に日本では当たり前とされることが、海外では通用しないことも多くあります。たとえば、日本人は時間を守ることを重視しますが、ベトナムでは多少の遅れは気にしない文化があります。
自分の常識が他人の常識ではないことを理解するには、実際に海外で生活してみるのが一番です。単なる観光ではなく、現地で働いたり、長期間滞在することで、視野が広がります。これから社会に出る皆さんには、ぜひ海外での経験を積んでほしいと思います。
◇事業内容と今後の展望◇
現在、私たちは国内24か所で介護施設を運営し、さらに台湾とベトナムにも事業を展開しています。台湾ではリハビリに特化した施設を運営し、ベトナムでは介護人材の育成と紹介事業を行っています。特にベトナムでは、特定技能制度を活用して、日本で働きたい人材をサポートしています。
今後の展望として、
1.医療依存度の高い利用者に対応できる施設の拡充
2.訪問診療所の開設と在宅医療の充実
2.台湾でのクリニック併設型介護施設の展開
4.ベトナムでの産後ケアセンターの設立
を進めていく予定です。特に産後ケアセンターは、日本ではまだ一般的ではありませんが、産後の母親の健康回復をサポートする重要な施設として、ベトナムでの展開を考えています。
◇SNS活用と今後の採用戦略◇
私たちは、SNSの活用にも力を入れていきたいと考えています。特に、現場の職員がどのように働いているかを発信し、より多くの人に施設の魅力を伝えることが重要だと考えています。単なる求人広告ではなく、働く人の声を通じて、仕事のやりがいや職場の雰囲気を伝えたいと思っています。
また、採用活動においても、特定技能者の確保や、若手の採用・育成に注力していきます。特に外国人職員にとって働きやすい環境を整備することで、長期的に定着できる体制を構築していく予定です。
◇まとめ◇
介護業界は、社会に必要とされる仕事であり、大きなやりがいがあります。しかし、経営面では多くの課題があり、日々新たな問題に直面しています。その中で重要なのは、「感謝の気持ちを忘れず、人材を大切にすること」、そして「柔軟な発想で事業を展開すること」です。
これから社会に出る皆さんには、ぜひ海外での経験を積み、視野を広げてほしいと思います。そして、介護業界に興味を持った方は、ぜひ私たちと一緒に、新しい介護の形を作っていきましょう。